[コラム]ナードマグネット・須田とハンバーグオムレツ・カリスマのEIGA・BU第32回

[コラム]ナードマグネット・須田とハンバーグオムレツ・カリスマのEIGA・BU第32回
バットマン VS スーパーマン ジャスティスの誕生(2016/05)



カ:どーも!前回の『マネー・ショート』

である意味一番注目して欲しかった劇中歌で徳永英明が流れるってことを言い忘れてました!ハンバーグオムレツのカリスマです!!

須:あのシーンめっちゃ面白かったですよね。スティーブ・カレルの表情とか最高です。どうも!ナードマグネット須田ですー!

カ:入稿してから思い出したんよな(笑)さて、遂に先日おそ松さんも最終回を迎えてしまったわけですが、須田くんはチェックしたかい?

須:してないです!なんか皆こぞってキャラ萌えしてる感じに乗りづらくて(笑) 気が向いたらhuluで見てみます…。

カ:食わず嫌いせずに是非(笑)さて、今回は我々EIGA・BUでこれを取り上げない訳にはいかんやろうって作品『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』

です。今回はね、もう言いたいことが沢山あるのよ、溢れそうなのよ。

須:はい来ました!めちゃくちゃ話題作ですが、僕もほんとうに言いたいことがいーっぱいあります!まあその前に、基本的なところから説明したいんですが、今作はザック・スナイダー監督による『マン・オブ・スティール』

からそのまま話が続いています。前作はクリプトン星人のカル・エルが地球にやってきて、クラーク・ケントと名付けられ、スーパーマンになるというお話でした。クライマックスでスーパーマンとゾッド将軍がめちゃくちゃに破壊した街の中には実はバットマンことブルース・ウェインさんの自社ビルがあって、その中で社員が死んじゃってて、おいこらふざけんなよ、となるのが今作の序盤なわけですね。

カ:うん。既に、このさわりだけで自然災害に対して、「地球憎い」って言ってるような的はずれな感じが出てますね。当然、劇中でバットマンはヒーローなのに、立ち位置は完全に一般市民だね。

須:今回のバットマンはベン・アフレックが演じていて、劇中のセリフや諸々から、バットマンとしての自警活動はもう20年目に突入していて、その昔ジョーカーと死闘を繰り広げた過去がある、って設定っぽいですね。

カ:そやね。半分引退してる感じやったね。例えば、湖畔の別荘でお姉さんもチョメチョメしたあと普通に夜寝て朝起きるというあんまりバットマンっぽくない金持ちの描写が出てきたりしてたし(笑)

須:まあバットマンはもともと超金持ちではありますが…。でもその「引退してるっぽい」感じがイマイチ分かりづらいんですよ。20年前にジョーカーと戦ったんだったらベンアフだとちょっと若く見える気もしますし。それだけじゃなくて、この映画、「どうやらそういう事になってるらしい」って汲み取らないとよくわからん事だらけじゃないですか?

カ:そやねん。バットマンのコミックとか過去の映画とかの情報でなんとなく脳内補完せなかあかんっていう。しかも、問題はストーリーが進むに連れ「あれ?俺が知ってるバットマンと何かが違うんじゃないか?」ってなってくるとこで。少なくとも俺が知ってるバットマンは過去に数回しか銃は使ってないんです。緋村剣心以上の不殺(ころさず)なんですよ。

須:バットマンには「絶対に人は殺さない」って自分ルールがあるから、『ダークナイト』

のジョーカーはそこに揺さぶりをかけてきたわけですよね。僕の記憶では確か元々のスーパーマンもそうだと思うんです。でも前作でゾッド将軍を最終的に殺しちゃったので、ザック・スナイダー版のこのシリーズはその辺のルールはあんまり厳密じゃないのかもしれません。

カ:そう。須田くんが言う通りあまり厳密にルールが設定されてない節が多々見受けられるからバットマンの行動に対して「?」ってなることが多いのよな。敵をお得意の宙吊りにして生け捕りにしたかと思えば、問答無用で車ごと爆破したりするし、生殺与奪の権利を行使する判断基準がわからん。あと凄く細かい話やねんけど、バットスーツの素材がイマイチ謎で銃弾を防いだかと思えば普通にナイフで刺されてたり、全体的にギミックの設定が甘い(笑)

須:っていうかねえ!今回のバットマン、ダサいんですよ!(笑) 見た目といい戦い方といい、ものすごくモッサリしてて全然燃えない!クライマックスなんて他の奴らがすごすぎて完全に空気じゃないですか!ドラクエで言うたら「僧侶」ぐらいの感じ!

カ:おお、珍しく須田くんが怒ってる(笑)でもドラクエの「僧侶」は重要だよ(笑)アーマーバットマンとかただの中世の騎士みたいになってて、アイアンマンのマーク1みたい。所作にモッサリ感が反映されてて、車の運転とか凄くプロフェッショナルなイメージだったのに今作は普通のトラック一台も捕まえられないボンクラっぷり。

須:その辺も「20年くらいのブランクがあるから」とかだと納得いくんですけど、そういう描写もないですもんねえ。バットマンもスーパーマンもレックス・ルーサーも、それぞれどんな状況でどういう目的のために行動してるのかがよくわかんない。見ながら何回も「とりあえず論点を教えてくれ」って言いたくなりました(笑)

カ:特にバットマンが全然人の話を聞かないでしょ。スーパーマンの話とか聞かずにいきなり攻撃する。俺ね、凄くバットマン好きなんですよ。ずっと前から尊敬してるんですよ。いつも冷静、かつ的確な判断が出来るヒーローの中のヒーロー。なのに生まれて初めてバットマンにムカつきました。「とりあえずお前は人の話は聞け!」って、まるで職場で新人さんを叱るみたいな。こんな気持ちをバットマン先輩に抱く日がくるなんて、、、、。

須:やっぱ描写が不十分なんですよ全体的に。この後の『ジャスティス・リーグ』に繋げなきゃいけないもんだから、無理矢理いろいろ詰め込んじゃってるんですよね。僕はいっそ前後編に分けて、前編でバットマンとスーパーマンが戦う必然性をじっくり描いて、後編で以降のシリーズへの布石を散りばめる、みたいな感じにすればよかったんじゃないかって思ってます。ってか色々妄想しました。例えばもしスーパーマンがアメリカ政府に利用されてイラク戦争に派遣されてる、みたいな設定だったら、世論が割れるのもバットマンがぶん殴りたくなるのも納得しやすいかも?とか(笑)

カ:じっくり描くべきやったよ。本当に何もかもが説明不足。やっぱりこの手の映画は相当気をつけて作らないと話が破綻するという悪い例になったんじゃないかと。ちなみに前にEIGA・BUで話しましたが日本でもこの「スーパー戦隊VS仮面ライダー」なるものがありまして、

そりゃあもう話が完全に破綻してて観るに堪えない酷い出来でした。おそらく皆が思ってるんだろうけど、この映画を観たらジャスティスリーグの行く末が心配になる。「バットマンで大丈夫か?」って(笑)マーベルのキャップと比較するとバットマンのリーグシップ力の無さが際立つし、とりあえずチームマネジメントの本とか買って送ってあげたくなったね(笑)

須:まあそんなアベンジャーズも次作『シビル・ウォー』

で壮絶な仲間割れに発展していくわけですが…(笑) でもね!こんだけ文句ばっかり言ってますけど僕はジャスティス・リーグにはちょっとだけ期待を抱いてるんです!それはこの作品における唯一と言ってもいい褒めポイントにも繋がってくるわけですが…

カ:ほう。その唯一のポイントとはなんぞや?

須:もちろん、ワンダーウーマンです!!!!もはや最初の2時間はワンダーウーマン登場までの前振り!!!!ワンダーウーマン最高!!!!!!

カ:ええ!!なんだこのテンションは!?ちょ、ちょっと落ち着いて須田くん!ワンダーウーマンの何がそんなに響いたんだ?

須:いや、だって、最高じゃないですか!さんざん暗ーーーいトーンでうだうだ進んでた話が、あの「チャラララーー(ドンドコドンドコ)」って音楽で一転する瞬間!!めちゃくちゃテンション上がりましたよ!!

カ:ま、まあ。でもワンダーウーマンを全然知らんかったら「いきなり出ててスーパーマン並みに強いってどういうこと?」ってならんかね(笑)俺も「えーと、いきなり割り込んでこられましたけど、ワンダーウーマンさんですよね?」ってなったもん(笑)まさか、彼女がここまで須田くんの琴線に触れてるとは思いにもよらなかった。

須:いいんですよ!辛気臭くて整合性も取れてない物語においてあの「チャラララーー(ドンドコドンドコ)」の瞬間こそが救いなんですよ!!あそこから一気に荒唐無稽なテイストになるのでほんと別の映画が始まったような気分になります(笑) ザック・スナイダー監督の精神状態は大丈夫なんだろうか(笑)

カ:そう言われて観るとザック監督は誰よりもワンダーウーマンが好きやったのかもね。俺はなんだか最後までワンダーウーマンの唐突な登場に戸惑いながら映画が終わってしまった、という感じで。観終わった直後は、「ワンダーウーマンは次作で出せば良かったのでは?」と思ってました(笑)ただ、須田くんの話を聞いてると、ワンダーウーマンがすべてを丸く収めてくれたような感謝の気持ちでいっぱいになってきたよ(笑)

須:僕は早くワンダーウーマンの単独作品が見たくてたまらないですよ!監督は変えてほしいですけど(笑) たぶんザック・スナイダーって、「フェティッシュな画作り」に関してはめちゃめちゃ才能あると思うんですけど、お話を語るのがヘタクソなんだと思いました。『エンジェル・ウォーズ』

っていうなかなかの問題作がありましたけど、あれも要所要所のシーンは超カッコいいのに、話はめちゃくちゃだったじゃないですか。

カ:あれは、小学校の時にノートに書いてた漫画を本気で映画化したような、話はダメダメやけどやりたい事はわかる感じやったね(笑)『ウォッチメン』

とか原作があってないような、ただのヒーロー映画になってたけど、絵はすごかった。

須:えっ!僕は『ウォッチメン』は成功してたと思いますよ!あんな難儀な原作、あそこまで再現してくれたらもう十分(笑)

カ:ザック監督は「映画はビジュアルや!」って常々発言してるみたいやし、良くも悪くも自分に真っ直ぐな映画は撮れてるけど、このままジャスティスリーグを任せるのは少し荷が重いよね。ちなみにワンダーウーマンはパティ・ジェンキンスっていう女性の監督さんが担当されるそうなのでご安心を(笑)

須:そうなんだ!女性監督によるヒーロー映画って新鮮ですね!楽しみだなー。

カ:なんかワンダーウーマンの企画自体が「ワンダーウーマン撮るなら女性監督じゃないとダメだ!」ってなってたみたい。確かにあんだけ強い女性を描くなら女性の監督じゃないと無理な気がするな。そもそも思い返せば女性のヒーローがメインの映画ってあまり例が無いからね、色んな意味で期待大。

須:ワンダーウーマンに対抗してマーベルもブラックウィドウの単独作品とかやればいいのに!エリザベス・オルセンちゃんのスカーレット・ウィッチでも可!

カ:ブラックウィドウの単独作品は噂だけは聞くのに実現しないよね。なんかホークアイはドラマ化されるみたいやけど。スカーレット・ウィッチで単独作品は、、、、絶対に実現せんやろ(笑)

須:なんでですか!!ひとり健気に生きていこうとするスカーレット・ウィッチに様々な困難が立ちはだかって、ホークアイがこっそり心配してる、みたいな話を僕は見たい!!

カ:「見たい!!」って気持ちは伝わってきますよ、須田くんから(笑)でも、なんかスカーレット・ウィッチっていまいちパッとしないというか、あまりヒーローな感じがしないというか、つーか今や安定の国家公務員やしそんなに苦労もせんのじゃないというか、俺の中では割と強い姉ちゃんぐらいの評価なんよね(笑)

須:あのパッとしない感じが良いんじゃないですかー。そういう子が本気出して活躍する瞬間にグッと来ます。ってどんどん脱線してる!完全にマーベルの話になってる!

カ:あかん!戻しましょう!そして、纏めましょう(笑)

須:まあ色々と文句を言ってきた『バットマン vs スーパーマン』ですが、ワンダーウーマンの記念すべきデビュー戦というだけで僕にとっては価値のある作品です!あの「チャラララーー(ドンドコドンドコ)」の瞬間は映画館で体験すべき!!まあ今んとこワースト候補っすけどね!!

カ:確かに記念碑的作品!でも、ワーストだよ!スーパーワーストマンだよ!!さあ、画面の前の君も、バットマンの様に勘違い怒る上司を持つ苦労する体験を是非、劇場で!!ではまた来月、ファイナルジャスティス!!!




プロフィール 如何の通り

カリスマ: 本名不肖、牙の勇者の異名を持つキョウリュウレッド。
地球と大阪市北区の平和を守る傍らハンバーグオムレツというジャンクフードパンクバンドのボーカルとしても活動している。
EIGA・BUの「観る」担当。
HP:http://omelette.sekaibi.com

須田亮太: 顔出しNGというわけではございません。
ナードマグネットというバンドのギター&ボーカル。パワーポップという不遇のジャンルを今一度普及させるべく、大阪を中心に活動中。アイドルも好き。
EIGA・BUの「見る」担当。
HP:http://nerd-magnet.com/

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