[コラム]ナードマグネット・須田とハンバーグオムレツ・カリスマのEIGA・BU第35回

[コラム]ナードマグネット・須田とハンバーグオムレツ・カリスマのEIGA・BU第35回 『シン・ゴジラ』
(2016/09)



カ:皆さん申し訳ございません。2か月前にEIGA・BUのコラムを更新しました片割れのカリでございます。俗世の喧騒を越える長旅を終え、漸く皆様の元に帰ってまいりました。お待たせ致しました。

須:順調に更新してきたこのコラム、ついに1ヶ月飛ばしてしまいました…お互い忙しかったですね…。ナードマグネットの須田です!!

カ:俺は殆ど大阪におりませんでした。四国と中国地方をぐるぐるとあちこち飛び回っておりましたわ。で、びっくりすることにまる1か月映画館に行かないという愚行を、、。

須:僕はなんとか合間縫って何本か見れたんですけど、それでも普段よりは減りましたね。評判の悪い『10クローバーフィールド・レーン』

を僕が必死で擁護する回とかやりたかったんですけど(笑)

カ:あれは『クローバーフィールド』

の続編ではないのよね?結構、続編だと勘違いしてた人が多かったような感じ。

須:「同じ世界の話」ではあるんですが、テイストが全然違うので、「思てたんと違う!」って怒ってる人が結構いますね。めちゃくちゃ面白かったけどなあ。で!本題に入りますが、そんな地獄の日々を乗り越えたカリスマさんがやっと1本映画を見れたとのことです!何を見たんでしょうか!

カ:『シン・ゴジラ』

でございます!!日本が誇る天才、庵野監督が帰ってきた!!

須:もう話題沸騰ですねー。普段あんま映画館行かない人らもめちゃくちゃ盛り上がってる気がします!あらすじとかは今回は言わなくてもいいでしょう!新しい国産ゴジラ映画です!以上!

カ:あらすじはいらんよね。とりあえず観てくれたらわかるから。いやはや、デカいゴジラやったよね(笑)しかも、こんな無敵感に満ち満ちたゴジラは珍しい。

須:はい、予備知識ゼロで見に行ったほうが楽しめるので詳しいことは言いませんが、「誰も見たことないまったく新しいゴジラ」ですよ!本当にびっくりしました。

カ:ほんまに新しいよ。それでいてゴジラのイメージは崩していないから、どこを切ってみても完全にゴジラ映画。ちなみに須田くんのファーストゴジラはどの作品やったんかな?

須:たぶん一番最初は『ゴジラ vs ビオランテ』

ですねー。ちっちゃい頃に親父といっしょに映画館行った記憶があります。今回のゴジラってちょっとビオランテ感ありません?

カ:言われてみれば確かに。皮膚の隙間から内臓というか中身が見えてるもんね、ビオランテも。しかし、ビオランテって今観てもとんでもない造形よね。CGも無い時代にあれをあんだけ動かせたのは日本特撮技術の努力の賜物です。今回のゴジラはフルCGでしたが、やたらと着ぐるみ感のあるCGやったね。『パシフィック・リム』

と通じるものがある。生物であって生物で無い感じが素晴らしい。

須:「怪獣の質感」がしっかりありましたね。でも今回のゴジラって、「怪獣が街で大暴れ!」っていうよりも、もっと何ていうか象徴的な存在としてゴジラがいる感じですよね。前にこのコラムでハリウッド版ゴジラを取り上げたときhttp://fireloop.net/_0main/1408/c06.shtmlに僕が「ゴジラは自然災害のメタファーとしても見れる」みたいなことを言ったんですけど、その感じがより強まってると思いました。

カ:そうやね。今までのゴジラって有事の際に「避難して下さーい」って声掛けするだけで大体全員避難できてたけど。今回のは逃げ遅れてる人がきっちりいるという。ガメラで樋口監督もやってたけど、あれをきっちり描いてくれると没入感が増すというか。観客がゴジラを自然災害そのものであるっていう事実を危機感を持って飲み込める。

須:でもシンゴジは逃げ遅れて死んじゃう人たちのドラマは描かれてないんですよね。そこで賛否分かれてる感もあります。僕は「大災害が起こっててんやわんやになる政府」っていう完全にどっかで見たことある光景を描いた前半が素晴らしいと思いました。完全に風刺コメディになってる。

カ:多分、死んじゃう人は続編への引きなんかなって思ってたり。前半はもう苦笑いするしか無いよな。「効率悪いよ!日本政府!」って(笑)でも不思議と無駄なキャラは一切出てきてない印象やった。ある意味『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

に近い。と、いうと褒めすぎかな。

須:セリフの量はたぶんマッドマックスの5倍はあると思いますが(笑)でも映画のスピード感という意味では確かにそうですね!ものすごい情報量を一気に叩き込まれる2時間でした。見終わって頭クラクラしましたもん。

カ:情報量が多いから色んな楽しみ方が出来る。繰り返し観れて、幅広い層が楽しめる様に作られてるよね。言うならば知的好奇心の限界突破!これこそ庵野監督の真骨頂やなぁって。庵野監督がエンターテイメントに注力した時のパワーたるや計り知れない。

須:庵野監督といえばもちろんエヴァンゲリオンが代表作なわけですが、エヴァに夢中になった世代にはたまらんものがありますね。言うなれば「使徒しか出てこないエヴァ」みたいなもんですから(笑) 僕は最初に予告を見たとき「この石原さとみの役、大丈夫かな…」ってすげー不安になったんですけど、実際に本編見たら「これ完全にアスカやないか!」とすぐ納得できました。

カ:確かに完全にアスカやった(笑)俺、アスカが好きやからもう胸の高鳴りが抑えられんかったわ。あんな感じの性格の女の子に俺はいつも悩まされてるよな(笑)全然、話が逸れるんやけど、劇中でPanasonic製のリースのノートパソコンを並べて支給するシーンがあったけど、もう思わず笑ってしまった。どんだけ細かいとこまでネタ散りばめてるんやと。あれ、俺も会社で使ってますよ、勿論リースで(笑)あんな緊急事態でも日本人はリースPCを使うってのがズバリ国民性を表現出来てるよね。

須:あとみんなチューブファイル山ほど抱えてたり、コピー機をずらーっと並べてったり、サラリーマンや役所で働いてる方々には見覚えのある光景が多々ありますね(笑) 情報量が多いって言いましたが、ほんとディテールが細かいので、いろいろと確認したくなってもう一回見る、って人も多そうですね。

カ:そうやねん。リピーター生みやすくしてるあたりもエヴァと通じるものがあるよね。そうすることによる興行的なメリットが非常に高いもんな。俺は、見慣れた景色が出てくるたび、「我々も日々ゴジラと戦ってるんではなかろうか?」と戦慄を覚えましたが(笑)

須:クライマックスも日本ならではな展開でしたからねー。ハリウッド版を見たあとだから尚更比較すると面白いですね。今年だと『アイアムアヒーロー』

という「日本ならではのゾンビ映画」の傑作もありましたし、邦画の大作がちゃんと面白いのは嬉しいです。

カ:CGの技術が進んだってのもあるんやろうけど、ほんま須田くんが言う通り邦画の持ち味を活かしつつ洋画と肩を並べられる作品が増えて来たのは喜ばしいことやね。俺は、この流れで庵野監督に仮面ライダー作って欲しいって思ってしまう(笑)

須:子供たちにトラウマを植え付ける作品になりそうですね!そういば昔、『真・仮面ライダー』

ってあったな…あれ怖かった…

カ:あの仮面ライダーは当初シリーズ化を予定してて、どんどん外骨格を手に入れて最終的に仮面ライダーになる展開になっていくはずが、子どもたちを恐怖のどん底に叩き込んでしまって一作で打ち切りになった悲劇のライダーやねん(笑)そういう意味でも庵野監督はトラウマのコントロールも上手い監督やなって思うな。

須:エヴァの旧劇場版とかが盛り上がってた頃って確か僕は小6とか中1くらいで、テレビシリーズをレンタルして見てたんですけど、まあガキにはキツい描写たくさんありますよね(笑) でも「何かよくわからんけど…すごい…!」っていう感覚だけはずっと残るから、繰り返し見たくなってどんどんハマっていったんですよ。シンゴジラの小・中学生の感想聞いてみたいなあ。

カ:エヴァは小中高の多感な子ども達に圧倒的なインパクトを与えてくれたからね(笑)そういう意味では今の小・中学生はシンゴジラが初和製ゴジラになるやろうから、国産ゴジラが最強である印象をトラウマ込みでガッツリ記憶してもらえるんじゃないかと期待してるね。

須:小学校低学年とかはさすがに意味わかんなすぎてキツいかもですが(笑)まあそれでも中盤の大破壊とかめちゃめちゃ怖いですからね。いい映画体験できそう。これに触発されてハリウッド版もまた頑張ってほしいっすけどねー!ゆくゆくはキングコングと戦うみたいな噂もあるので…

カ:みたいやね!ハリウッド版は真意は不明やけど、パシリムと合流するって噂もあって、実現すればなんか凄いことなるよ(笑)さて、殆ど中身にふれず、作品の外郭だけを紹介した今回ですが、そろそろお別れの時間が迫って参りました。

須:はい、僕はほんとに前情報ほぼゼロの状態で見に行ってぶっ飛ばされたので、なるべくネタバレには気を遣ったつもりです…。いつも言うてますが映画ってのはやはり「体験」なので、こんなうってつけの作品もなかなか無いかなと思います!ぜひ映画館へ!

カ:そう「体験」だ!なので、今作は4DXで観るのもええかなって思います!つまりデートにぴったりだよ!みんなも気になるあのコを連れてゴジラ観に行こうぜ!!

須:うわぁー!夜の在来線爆弾やぁー!次回もお楽しみに!ナードマグネット須田でした\(^o^)/

カ:来月はきっきり更新しますので(笑)また次回お会いしましょう!ハンバーグオムレツのカリスマでした!ブレイブ・イン!!




プロフィール 如何の通り

カリスマ: 本名不肖、牙の勇者の異名を持つキョウリュウレッド。
地球と大阪市北区の平和を守る傍らハンバーグオムレツというジャンクフードパンクバンドのボーカルとしても活動している。
EIGA・BUの「観る」担当。
HP:http://omelette.sekaibi.com

須田亮太: 顔出しNGというわけではございません。
ナードマグネットというバンドのギター&ボーカル。パワーポップという不遇のジャンルを今一度普及させるべく、大阪を中心に活動中。アイドルも好き。
EIGA・BUの「見る」担当。
HP:http://nerd-magnet.com/

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