[コラム]ナードマグネット・須田とハンバーグオムレツ・カリスマのEIGA・BU第24回

[コラム]ナードマグネット・須田とハンバーグオムレツ・カリスマのEIGA・BU第24回(2015/06)


カ:どうも!!折れた肋骨もハイパートランスフォーム完了!ハンバーグオムレツのフェニックスカリスマです!!

須:常に二日酔い!ナードマグネット須田です!!

カ:お!2年前の俺だね(笑)1年間で4回行きましたよ、吐血までね(笑)

須:それはヤバすぎ!!自重します…。さてさて、相変わらず忙しくってなかなか話題作をジャストなタイミングで紹介できない当コラムですが(笑)、今回も公開からはちょっと時間が経ってしまった一作でございます…でもこの作品の話はどうしてもしておきたかった!

カ:今回取り上げるのは『寄生獣 完結編』です!!



怒りのデスロードですよ!

須:マッドカリちゃんや!怒ってる!

カ:前作の『寄生獣』を観た時はまだ、頑張って纏めてはる印象があったのよ。



でも、今回のは無い!全くもって不愉快だ!!もう言いたいことは山ほどあるぞ!今回は!

須:前編については、このコラムでは取り上げなかったんですが、カリスマさんがやってるUst番組『音楽とロック』に僕が出演した際に話しましたね。



ちなみにその時にカリスマさんが「2014年ワースト!」とボロクソにけなした『STAND BY ME ドラえもん』と同じく山崎貴監督作品という…(笑)



カ:ドラえもんの時の功績から山崎貴監督をクソの錬金術師と呼ばせてもらってますが今回も最高の原作を、見事、クソの塊に変えてくれました(笑)ちなみに前編の『寄生獣』はまだ観れましたよ。でも今作は最悪最低です!今年、否、俺の人生のワースト5にランクインしたぜ!!

須:めっちゃ怒ってるー!(笑) カリスマさん的には「まだ観れた」的な温度感ですけど、僕は前編はめちゃくちゃ好きなんですよ!原作からアレンジした部分も効果的になってたし、残虐描写からも逃げてないし、俳優陣はみんなイイ顔してるし。しっかり「おお、おれはマジであの『寄生獣』の実写化を見ている…!」って気持ちになれました。

カ:で?今作は?

須:いやもう全然ダメ(笑) 前編と打って変わって原作からの改変ポイントがことごとく上手くいってないし、くどいし…前編が良かっただけに落胆がでかいです…。

カ:田宮が死ぬとこまではまだギリギリ観れた感じやったけど、その後は笑えるぐらいの地獄(笑)なんであんなことになってしまったんや!って思ったけど、まさにそれこそがドラえもんの感動エピソードっていう黄金を集めてあんなクソ映画を作った山崎監督の真骨頂(笑)

須:そのシーン含めてクライマックスが3回くらいあるから単純にお腹いっぱいになりますよね(笑) 僕も不満点は終盤にほぼ集約されてます。一番気になったのは濡れ場の編集ですけど(笑)

カ:規制を意識してるのかもしれんが、あれは中途半端やったなぁ。むしろ、あれなら要らんかった。そもそも喘ぎ声なんて入れなくて良いんですよ。

須:愛ちゃんは頑張ってたからいいんです!染谷の野郎がうらやましい…。ただあのシーン、キス→服脱ぐ→挿入の一連の流れをテンポの悪いジャンプカットで見せるじゃないですか?あれがすんごい間抜けに見えたんですよ。もっとロマンチックかつ官能的に撮ってくれないと!

カ:何処で規制を気にしてるのかわからんよな。そもそも、濡れ場に至る経緯が改悪されてて、グダグダのAVの様なシチュエーションみたいになってから、俺、笑ってもうたもん(笑)それに、俺は染谷くんの弛みきった身体が気になった。
紛いなりにもパラサイトとの激闘を潜り抜けてきたってことになってるんだからもっと鍛えないと!なんだよあの腹筋は!

須:やっぱ筋トレマスター的にはそこが引っかかるんすね!まあ脚本の改変は仕方ないと思うんですよね、2時間にまとめるにはどうしても。見せ方ひとつで全然違ってくると思うんやけどなあ…。ラストもすんごい間抜けじゃないですか。

カ:間抜けすぎるよ、、、一切感動出来んかったもん。ほんまは「うおぉぉ!ミギー!!ありがとう!!」って号泣してたはずやのに、「あーそらまぁそうですよね。」ってなってしまった。ドラえもんの時も思ったけど、本来感動するシーンがあざとい演出で全然感動出来なくなってるのよな。そのあざとさの最たるものが後藤を倒した放射能物質(笑)後藤撃破に至る田宮の「か弱い仲間の一人ではあるが無敵だ」ってセリフがまるまる削られてるのに、都合良く刺さりやがって!反原発のオナニーに寄生獣を使うんじゃねーよ!クソが!!!

須:ていうか「反原発」のメッセージにすらなってなくないですか?(笑) なんとなーく被災地がれきとか出しといたらイマ風?みたいな、そんくらいのレベルだなと思いましたね。園子温監督の『ヒミズ』も原作マンガの設定を大きく変えて震災を絡めることで賛否両論起こってましたが、あれは内容的にも作られたタイミング的にも「今こういう話を撮らねばならん!」という思いをビシビシ感じたんですよね…でも『寄生獣 完結編』は全っ然ちがう!(笑)

カ:そう!全然違う!!この監督は何なんだ?アホなのか?上映前のインタビューでは「寄生獣は大好き漫画なので」みたいなこと言ってたのよ、それが蓋開けてみたら、、、。ちなみに俺らが貶しまくってるのこの映画ですが、ミギーやパラサイトのCGアニメーションは日本映画にしては頑張ってると思ったけど、須田くんはどうやった?

須:映像に関してはサイコーだと思いますよ!前編は本気で感動しましたもん。完結編でも、あの車が落っこちてからの…なシーンとか超興奮しましたし。日本映画ってどうしてもハリウッド映画と比べたら掛かってるお金が安すぎるので、CGのクオリティが残念な事が多いんですけど、寄生獣に関しては気にならんかったっすねー。その点『進撃の巨人』はちょっと心配です(笑)



カ:あのCGは俺が敬愛してやまないゲームクリエイターの小島監督のチームが製作してるのよな。そのチームが開発した高性能なFOXエンジンってのを使ってて、今回の映画ではそれが遺憾なく発揮されてたね。『進撃の巨人』は平成ガメラの樋口監督やから期待しつつも、完結してない漫画やから、ちょっと時期尚早だったんでは無いかと思うな。

須:樋口さんって特技監督とかに徹してるなら良いけど「監督」としては微妙な気がします…。 話逸れちゃいましたが、今回の寄生獣しかり、映像技術だけでいうと邦画もレベルは上がってきてるんでしょうね。ただやっぱり規模のでかい大作になると、色んなしょうもない人たちが介入してアレコレ言ってきて、結局どこに気を遣ったのかよくわからないイビツな代物が産まれてしまう、というパターンが多いんじゃないかと。

カ:日本の映画界は良質なコンテンツを無駄遣いしてることにもっと危機感を持った方が良い。マーベルのヒーロー物とかはもっと柵が多いはずなのによくまああそこまでの作品が並んでるよな。

須:マーベル作品はちゃんと元のコミックへの愛と敬意がちゃんとありますもんね。それでいてあれだけの特大ヒットになるんだから本当にすごい。それに比べて『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の日本での宣伝のヒドさときたら!(笑)



カ:一作目で炎上系コピーで成功したから味をしめてる感はある(笑)ほんま、コミックへの愛って大事や。でも、人気があればあるほど柵は増えるからどんどん映画化は難しくなる。アイアンマンとか映画化されるまでマイナーなヒーローだったみたいやから、一作目はやりやすかったかなって思う。で、今、観終わって少し時間をおいてみて、山崎監督は寄生獣が好きすぎたんじゃないかって逆説的に思えてきたのよ。

須:それはそうでしょうね。愛と敬意はあるはずですよ。監督のインタビューで、今回レーティングをR指定じゃなくPG-12にするために、人体損壊描写のギリギリのラインを研究したって話してたのは「ヌルい作品にはしたくない!」って気持ちの表れでしょうし。

カ:むむむ、、やっぱそうよな。前編はかなり良かったもんね。つまり偉大な原作に押し負けたってことなんかな。志は高かったけど力量が伴って無かったというか、作品との相性が悪かったというか、そう考えたら気の毒に思えてきたよ。でも、俺は少なくとも、山崎監督の作品は後10年ぐらい観ることは無いと思われる(笑)

須:長いなあ(笑) 僕は逆に今後がちょっと楽しみではありますけどね!それこそ今まで「ヌルい邦画監督」の代表格みたいな言われ方を散々されてきた人が今回ここまでやったわけですし、狂気的な部分が花開いてくれるとこの先オモロいんじゃないかなと!

カ:確かにこれからの日本映画界の可能性の一端は感じることは出来たと思う。ボロカスに言ってしまったけど、山崎監督には誰も映画化を考えなかった作品にトライしてほしいと思ってるよ。想像超えた映画化なら、俺、こっそり観に行きますから(笑)

須:こっそり!(笑) ただこの『寄生獣』が思ったほどヒットしてないっぽいので、また元の路線に戻っちゃう可能性もありますけど…。

カ:次は元の路線なら『きんぎょ注意報』あたりを実写化か、攻めるなら『ベルセルク』の蝕を実写化するか、どちらかだな、きっと。なんせ今作は原作を読んでようが読んでまいが駄作やった。山崎監督にはこの失敗を機に猛反省して頂きたい。喝ッ!!!!

須:『きんぎょ注意報』の実写化なんて誰が喜ぶんですか!(笑) というわけで久しぶりの酷評回でございました。好きな人いたらごめんなさい!来月はまた面白い作品を取り上げたいですね。というわけでそろそろシメる流れでお願いします。

カ:漫画を映画化することの難しさを改めて感じさせてくれると共に山崎監督に対する怒りを俺の中に刻み込んでくれた『寄生獣 完結編』。これを読んでくれたあなたの街でまだ上映してるなら是非観に行ってくださいね!

須:映像はすごいから!本当に!(笑)

カ:ヤバイよ!須田くん!それトドメさしてるよ(笑)では皆さん、また来月お会いしましょう!ブレイブ・イン!!!




プロフィール 如何の通り

カリスマ: 本名不肖、牙の勇者の異名を持つキョウリュウレッド。
地球と大阪市北区の平和を守る傍らハンバーグオムレツというジャンクフードパンクバンドのボーカルとしても活動している。
EIGA・BUの「観る」担当。
HP:http://omelette.sekaibi.com

須田亮太: 顔出しNGというわけではございません。
ナードマグネットというバンドのギター&ボーカル。パワーポップという不遇のジャンルを今一度普及させるべく、大阪を中心に活動中。アイドルも好き。
EIGA・BUの「見る」担当。
HP:http://nerd-magnet.com/

ナードマグネットのインタビューはこちら