[コラム]ナードマグネット・須田とハンバーグオムレツ・カリスマのEIGA・BU第25回

[コラム]ナードマグネット・須田とハンバーグオムレツ・カリスマのEIGA・BU第25回(2015/07)


カ:どうも!いよいよ来るぞ!2015・夏!浜辺の熱き視線を完全ホールドする為にボクシングジムに通い始めました!ハンバーグオムレツのカリスマです!

須:うわ、しばらく会わない間にまたおかしな事になってる!(笑) どうも??ナードマグネット須田です??

カ:最近、リアルでは殆ど会ってないもんね(笑)須田くん相変わらず超忙しい様子やけど、映画行ってる?

須:この対談もLINEでちまちまやりとりしてますから(笑) めちゃくちゃ忙しいですけどなんとか時間見つけて行ってますー。なんせ最近話題作が目白押しなので…!

カ:その話題作の中でも抜き出た超弩級の作品があった!!血と!暴力と!愛と!車と!砂漠と!イモーーータンジョーーーーーーーー!!!今月は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』です!!


須:V8!V8!V8!V8!というわけで各地ですでに話題沸騰中の作品でございます。『マッドマックス』シリーズ、なんと30年ぶりの最新作!

カ:この30年間『マッドマックス2』を超える伝説はなかったのに、ジョージミラー監督が自ら塗り替えた!!!

この作品はほんま凄い!!正直、凄すぎて何から話せば良いのかわからん(笑)劇中で行動理念がわからんキャラが出てこない映画なんて何年ぶりかに観たよ!みんな、命に真っ直ぐや!!

須:あっ、『サンダードーム』を完全に無かったことにしてる…(笑)


カ:『サンダードーム』?あ、あのお喋りなマックスが活躍するやつね(笑)

須:結構好きなんだけどなーサンダードーム…(笑) いやーしかしホンマに凄いです。あまりの情報量の多さに一回見ただけでは感想がまとまらなくて、パンフとか監督のインタビューとか読んでやっと咀嚼しつつあるって感じです。はやく2回目行かなきゃ…。

カ:え俺は2回目行きましたよ。と、いうのも1回目が日本語吹き替えで観てしまったのね。ありゃ怒りのデスロードでしたよ!しゃしゃりでてくんじゃねぇEXILE!!

須:いきなり吹き替えってチャレンジャーですね!やっぱEXILEの人ダメでした?ネットの評判見ると「意外と吹き替えも悪くなかった」って感想もチラホラ見かけましたが。

カ:俺はダメやったわ(笑)なんか重めの声でやってはるんやけど、めちゃ軽い。今回のマックスはセリフ少なめなんで、余計に気になりますよ。そんで、直ぐに字幕で2回目観たらしっくりきました。この映画何が凄いって、ストーリー知ってるのに1回目となんら変わらぬ衝撃!いや寧ろ2回目の方がより作品よりMADを感じた(笑)

須:2回目の方がより細部にまで目がいきそうですもんね。1回だけだとほんと「何かよーわからんけどムチャクチャ面白いもんを見たぞ…!」って感じですもん(笑) ストーリー自体はきわめて単純明快なんですけどね。

カ:ストーリーは単純やね。もう全員各々の目的に真っ直ぐ最短距離で爆走し続けるってだけやからね(笑)無駄なことが一つも無い!

須:「爆走、折り返し地点、また爆走」っていう。でもその中に恐ろしいぐらいディテールが細かく色んな要素が詰め込まれまくっているから、たぶん何回見ても飽きないだろうなーと思います。隅から隅まで楽しめるから。

カ:バンドマンは必見やで!明日ライブで使えるネタが盛り沢山!例えば火を噴くギターとかね!

須:やっぱ火炎放射ギターは一番アガるポイントですよね!ドイツのラムシュタインが先にやってますけどね(笑) あのドゥーフ・ワゴンのスピーカーとかは全部本物らしいですよ!あれ乗って演奏してぇー!

カ:ナードマグネットも徐々に!否!確実に!!MAXでMADしてきてる証拠だぜぇ!!(笑)そもそもこの映画は殆どCG使って無いらしいね。あの棒高跳びダイビングアタックも全員命知らずのスタントマン達の超絶アクションの賜物!

須:今の時代にそんな撮り方すんのもどうかしてますよね!タイ映画とかならまだしも(笑) 「これ撮影中に2?3人ほんまに死んでるんちゃうか…」って久しぶりに映画見ながら思いました。それこそ一作目が公開されたときは「撮影中に死人が出たらしい」って都市伝説が出回ったんですよね(実際は死んでない)。

カ:「死をも恐れぬ」とはこの事ですよ。口当たりが良いものが多過ぎる昨今の世界に風穴をぶち開ける作品!多くの人の魂をビンビン震わせてリピーターも続出!やっと真打が来た!って感じやで!でも、でもな、この映画に対する日本の配給会社やり方は最悪やな。

須:というのはさっきも話題にのぼった、吹き替え版に素人を起用してる件に関してですか?洋画の宣伝方法が酷いのはこれに限った話じゃないですよねー。最近このコラムでもちょいちょいそういう話題になりますが、、

カ:何があかんって、今回の成功を受けて配給が勘違いして欲しくないのよ。ほんまあんたら(配給)のやり方は最悪やったが、作品が最強過ぎてたまたまヒットしたんやと肝に銘じてほしい。

須:タレント吹き替え問題については配給だけが悪いわけではないと思います。あーいうことがなぜ頻繁に起こるかっていうと、その方がテレビとかで宣伝してもらえるからなわけで。そんな安易な話題にばっかり食いつかず、ちゃんと優れた作品を紹介するメディアが増えないとどうしようもないです。『パシフィック・リム』に大興奮してためざましテレビの立本キャスターみたいな人がもっと必要なんですよ!


カ:おぉ!なんか今回は須田くんも熱くなってきてるね!つまりは、根本的な日本人の意識改革が必要になってきてるんや!虚飾に惑わされず自らの審美眼を信じないとあかん!ところで、アメリカもやっぱりこんな問題を抱えてるんやろうかね?

須:むこうの国内での宣伝方法とかはわからないですが、映画でも音楽でも、オモロいものや優れたものがしっかり評価されてヒットしてるイメージはありますね。日本よりはずっと!ことさらアメリカ万歳みたいなことを言うつもりはないですけど、エンターテインメントの世界の話に限れば、ちょっとまだまだ敵わねえなぁと思います。

カ:コンテンツの数は負けてないと思うけど、それを活かせる土壌が無いのが今の日本なんやろうな。日本でも「爆裂都市」とかやれるわけですから、出来る筈なんですよ。

須:なかなか越えるべきハードルは多い気がしますけどね…。ってか今まさに2回目を見てきました!(※この対談はLINEで行われております) やっぱ1回目でいろいろ見落としてました!もう色んなとこで語られまくってると思いますけど、ほんっとに細部の作り込みが半端ないですね。単に「カーアクションがものすごい映画」なだけじゃない。

カ:そやねん!例えば、ニュークスよ。あのにいちゃん、まさかのV8エンジンのタトゥーを入れてるんよな!二回目で気付いて声出たわ(笑)イモータンジョー様への心酔っぷりをダイレクトに表現してる。しかもあのタトゥーは確か一回皮膚を剥がして、ケロイド状に盛り上がり利用するタイプのやつやから入れるのは超激痛やのに、あえてそれを入れてるウォーボーイ達は忠誠心半端なくてめちゃカッコいい!

須:カッコいいっていうか、可哀想な人らなんですけどね(笑)信じるものがアレしかないんだもんなあ…。ニュークスの生き様には泣きました。マッドマックスシリーズで涙が出たのは初めて(笑) 世界観の作り込みという点では、監督のインタビューで語られてたんですが、フュリオサ率いる女たちの設定に説得力を持たせるために女性のコンサルタントを起用したってのが面白かったです。そういう所をしっかりしてるから、女性観客からの支持も厚いんですよね。実際2回目のときは女性客が多くて「ちゃんと伝わってる!」って思いました。

カ:女性陣もカッコいいもんね!スキが無い!つーか、俺、ストロング高齢者が出てくる映画好きなのよ(笑)あと、須田くんは可哀想って思ったみたいやけど、ある意味でウォーボーイはとても幸福やと思うのな。僅かなばかりの希望を信じてそれに殉じてるわけやから、そこには悲哀もある。けれど俺は彼らの信念の根本に黄金を感じる。死ぬ瞬間にあんなに笑って逝けるのは海賊王とウォーボーイぐらいやし(笑)

須:いやいやいやいや!その希望って結局イモータン・ジョーのでっちあげじゃないですか!新興宗教にハマってる人とおんなじですよ(笑) イモータンが妊娠してるスプレンディドに”That's my property!"って言うじゃないですか?あれが全てを表してて、あの砦ではウォーボーイズも、女たちも、輸血袋にされちゃうマックスも、みんなイモータンの「所有物」でしかないんです。でも心理的に完璧にコントロールされちゃってるウォーボーイズはそこに一切疑問を抱かないけど、女たちは"We are not things!"つって反旗を翻すわけですよ。そっちに燃えないと(笑)

カ:須田くん。冷静になりたまえよ。イモータンジョーこそ理想のトップじゃないか!行動力と統率力とカリスマ性、そして部下に対する深い愛を併せ持つ男だよ。ってあれ?ひょっとして、俺、ウォーボーイズ化してきてる?

須:あっ…カリスマさんがいつの間にか坊主頭になってる…!ちょっと額にグリース塗りたくるのやめてください!カリスマさーん!目を覚ませーー!!

カ:ジョーーー!!最高だぁ!!!あの長い棒にぶら下がって機能美を捨て様式美を追求した攻撃するのはCG一切使わず、シルクドソレイユの人に監修してもらって作ったんだぁ!!

須:むちゃくちゃだよ!リアリティ追求するポイントおかしいよ!というわけでカリスマさんが完全にデス・ロードに旅立たれてしまったので今月はこの辺で締めようと思います。

カ:マッドマックスの過去作を観てない方でも全然大丈夫な今作!君が音楽をやってるならこの映画一本でアルバム一枚分の曲が出来あがるほどインスピレーションを受けることが出来るぜぇぇぇぇ!!これを読んだら直ぐにイモータンジョー様の勇姿を観る為に映画館に雪崩れ込め!!!!

須:何度でも言いますがイモータン・ジョーは近年稀に見る「絶対に憧れちゃダメな悪役」ですからね!?(笑) できるだけ音のでかい映画館での観賞をオススメします!というわけでまた次回?!




プロフィール 如何の通り

カリスマ: 本名不肖、牙の勇者の異名を持つキョウリュウレッド。
地球と大阪市北区の平和を守る傍らハンバーグオムレツというジャンクフードパンクバンドのボーカルとしても活動している。
EIGA・BUの「観る」担当。
HP:http://omelette.sekaibi.com

須田亮太: 顔出しNGというわけではございません。
ナードマグネットというバンドのギター&ボーカル。パワーポップという不遇のジャンルを今一度普及させるべく、大阪を中心に活動中。アイドルも好き。
EIGA・BUの「見る」担当。
HP:http://nerd-magnet.com/

ナードマグネットのインタビューはこちら