[コラム] 受付嬢マホの「夜の飛ばせ方Reloaded」(2016/08)


そんなこんなでなんとかエステへの潜入に成功した私(詳しくは前回までのコラムをごらんください)。



私より肌年齢高めのエステティシャンに誘導され、ペラッペラのバスローブに着替えさせられる。

「パンツ以外は全部脱いでください」と言われ閉まりない口を半開きにしながら言われるがまま衣服を脱ぎ捨てたのだが、

よく考えるとフェイシャルエステなのになんでそないに脱がにゃあならんのだ。

のちに首だか肩だかのリンパマッサージ的なのもするから上半身裸はまだ理解できたのだが、いまだになぜスカートまで脱がねばならないのか理由が分からない。



も、もしや盗撮でもされてるのでは?!



キョロキョロと入念に更衣室内をチェックするが、鏡に映るバスローブ姿でだらしない身体の中年女性より不振な物は見当たらなかった。

まぁいい。もう学生でもないのだからパンイチ姿が少しばかり一人歩きするのも悪くない。

毎日地下の薄暗い受付で誰の目に触れることもなく死んでいくよりは浮かばれる気すらする。

写すがいい。



着替えが済んだらいよいよ施術台へ移動だ。

結構な数の人が顔面に白いパックを乗せられたり蒸しタオルで温められている。

不謹慎な私は勿論「霊安室みたいだな・・・」と思いながらまんまと死体に仲間入りを果たした。



お決まりの

「ほらこれが貴女のお肌。この辺の毛穴が詰まってますね〜。でも大丈夫!うんたらかんたら・・・」

と肌にカメラ当てプレイ。

「どうですか?ほら。ほら。」

と変質者のように感想を求めてくるのでお望みどおり

「いや、きったねえですな。腐ってますわ。ええ。」

と、答えたら

「お、お客様はどちらかというとお綺麗な方ですよ?でも定期的にお手入れしていけばうんたらかんたら・・・」

うん。そうだよね。君、どえらい事になってるもんね。肌。(非常に失礼)



とりあえず一通りこんなんやりますよ〜、と説明されたが全くわからない。

何に効いているのかもわからないし、

「パックしますね〜」

と、言われたソレも目を瞑っている私にしてみれば生クリームかもちょっといい香りの鳩の糞かもわからないのである。

唯一分かっているのはこの先幾度となく繰り返されることになる



「このライトはN原紀香さんも使ってるんですよ〜!」



という、15年位前ならOLが飛びついたであろう呪文。

このご時勢、一体どこの誰が「あの紀香もやっとんのかい!」と食いつくのだろう。

私は言われれば言われるほど「無駄な光の時間だな・・・」としか思えず

出来れば仕上げの際に行われる肩と鎖骨のマッサージにその時間を費やして欲しいと言いたくて仕方がない。





ひとしきり終わると、まぁ子一時間あれこれやってもらっただけあって肌の状態は悪くなってはいない。

しかし低所得代表三十路が毎月、結果が出てるのか出てないのかわからないものにこの金額払うのか・・・と思うと二つ返事はできない。

「10回コースだとお得ですよ!20回コースだともっとお得ですよ!」と使い古されたセリフを荒地のような肌の女は繰り返す。





私は契約する事にした。





理由は「三十路らしく、さも自分への投資してるという事実が欲しい」

という愚かなものだ。

しかし、施術を終えた私はとても清々しかった。



趣味もねぇ、友達もいねぇ、見た目もそんなによろしくねぇ。

オラこんな三十路嫌だ、をお金で買える。なんて素敵なジャパネスク。

いくら払ったかはビール奢ってくれたらお教えしましょう。



お金ってすてきだなぁ!!!!あっはっは!!!!!!!!!