[コラム] モケーレムベンベ井澤聖一の「豆腐のかど」(2012年10月号)

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しっかしこれ、この、部屋のそこかしこに落ちとるカールしとらんほうの毛は、
これすなわち我が頭部から抜け落ちた毛髪だという驚愕の事実よ。君は信じるかい。
何かにつけてあれこれ思い悩むせいか、あるいは単に不摂生のせいかもしらんけども、
バンドマンのヘアーはわりかしクライシスしておる。

業界がもうアレだとか、CD作ってもアレだとか、それでなくても生活がアレだとか。

近頃悪い話ばっかで、そら、ぬけだしてしまいたくもなろう。
不毛に思えもしよう。
でも、この最前線。この際の際。
退くなよ。一歩も。
自分のてっぺんを、見失うなよ。
俺たちのサクセスは、決して、現状維持じゃなかったはずだぜ。

なんてうそぶきつつ、ちょっといいシャンプーを買うべく、loftのレジに並ぶ俺。
20代半ばを過ぎた俺たちには、情熱と毛髪が必要なのだ。


夕方7時、帰りの電車にて。

それなりに混みだした車内、席に座る人の前に立てば、自然と目線は頭頂部にジャストフォーカスされるのであって、
仕事でくたびれた人々は、頭部も相応にくたびれた風情であったよ。
皆、それぞれ苦労しとるのな。

俺にせよ彼らにせよ、自分で選んだ道のはずなのに、自分なりにまっすぐに進んできたはずなのに、

それにつけても曲がり角ばかりで。
それにつけてもまわり道ばかりで。

歩けども歩けども進んでいる気がせんなら、スナック菓子でもひとつどうだい。間違っちゃーおらんよ。たぶん。
一息ついて、また歩き出すだけさな。
そんでまた一息ついて、菓子でも食って。
そうして、度重なる偏食に、またぞろ頭髪が抜け落ちる、といった寸法であった。南無。

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