[コラム] いおかゆうみの「ちぐはぐな日々。」 (2012年10月号)

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とにもかくにも初めて触った楽器はピアノでした。
ピアノというても、電気屋さんに置いてあるようなやつで、キーボードっていうんかしら。値段やらはよう知らんけど、そんなにちゃんとしてないやつ。
日曜日の朝、大体の子どもたちは朝ごはんを食べながら、セーラームーンとか、まあ、なにかしら戦うやつを観てたでしょう。

うちも同じ。いつもより早起きして、一通り興奮した 後に始まるのは「題名のない音楽会」。

急に大人しくなったテレビに少し悲しくなって、三角座りの心。そいつが波打ったのは、ピアノを弾く誰かの指でした。


画面には鍵盤と指しかなくて、
指が踊れば鍵盤が沈んでって。

それが美しくて、苦しくて。
 

それからはお母さんと電気屋さんへ行く度に、顔を横に傾けながら、鍵盤を沈めてた。



あれは5歳やったかなぁ。
6歳やったかなぁ。

ピアノが欲しいと言うた覚えはないのやけど、ついに誕生日プレゼントとして、家にピアノがやってきた。



しかし、鍵盤を沈めることだけに満足してしまうから、ピアノを習うこともなく、習いたいと思うこともなく過ごし、たまに引っ張りだしてはそいつの側に寝転んで、畳の上、白と黒と、踊れない指。
ただただ部屋の色が変わってくだけ。


そんな日々を積もらせた少女は今や21歳になり、何故かアコースティックギターを持って、正確にはエレクトリックアコースティックギターを持って、うたをうたっています。ひとりで。


はじめまして。いおかゆうみです。


日曜日の朝のような文章を書いていきたいです。

よろしゅう。

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