[コラム] モケーレムベンベ井澤聖一の「豆腐のかど」(2012年02月号)

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一月は往き、二月は逃げ、三月は去る。
知らぬ間に、いつの間にか、ろくに挨拶もせず。
従来通りの休む間もない急展開に、いちいち気をとられていては、あっちゅう間にしわしわになっちまうぜ。
なんちて。わかりづらいかしら、ごめんよ、
なんしか、早いね。ほんと。
年越しも年明けも、相も変わらず飯屋の厨房で身をパウダーにしておったので、
北風小僧にさらわれて、俺、粉雪の如く舞い散りやせんかとひやひやしながら、バイト帰り、朝八時半。
行き交う人々皆が皆、無表情に見える。って時は大抵自分がいちばん死んだ顔しとる。
自然と顔も俯けば、横断歩道の白い線。
よっ、ほっ。
よっ、ほっ、ほいっ。
てな具合に、白いとこだけしか踏まんで、このままどこまでも歩いて行ったらば、
幼少の頃歩いた同じ道の、あん時見てたその先に、俺、今からでも辿り着けやせんかなあ。

ああ、白いとこ、途切れとる。
かくなる上は、無敵!今から十秒だけ無敵!!
なんつって向こうの白線まで全力疾走すれば、怪訝そうな顔、顔、顔。
だからなんだってわけじゃないが、そん時ばかりは、
行き交う皆も、たぶん俺も、とりあえず無表情ではなかったのだ。

節分になれば26歳。
二月にあって、年月のみならず俺も、逃げも隠れもするけれど、
いずれ、どうにか、なるだけナイスなしわしわになる。
そんで、できれば、あっちゅう間だったなと笑い合おうぜ皆さん方。

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