
「コンプレックス、ゼロ」でぶっ放す
14曲入りフルアルバム
『Good Morning,Good Night and Good bye.』
本誌では紙幅の関係で大幅にカットせざるを得なかったところを、web版限定でノーカットでお届けします。長いです。けどより面白いです。ごゆっくりお楽しみください。
■アルバム完成おめでとうございます。
全:ありがとうございますー!
ウェール(以下ウ):兄貴(※インタビュアー廣瀬)の好きな曲「ノートワ」から始まるという。
■そうなんですよ!インタビュー予習中、うかつに涙しかけました。
ウ:「ノートワ」ってメンバーもみんなめっちゃ好きやからね。
is※▲(以下い):最近ライブで1曲目に演奏することが多いんですよ。変に気張らないっていうか。
カッキー(以下カ):スッと入っていける感じで。
い:どちらかというと、雑味あるバンドじゃないですか。カッコいいライブにしようとか変なこと考えんでよくなったんで。
■アルバムの1曲目にした、っていうのもやっぱりそういうのがあるのかな。いきなりバッキバキにカッコいい始まり方じゃないやん。完全にこれ音頭でしょ。14曲もあるアルバムをなかなかこういう始め方はできないと思う。
ホシヲ(以下ホ):チョケてますね。
ウ:セリフ(掛け声)から始まってるしね。
い:はじめは全然もっと(アルバムの始まりを)「シュッとする」感じで考えたんですよ。けど、アルバムにはギュッと詰め込んだからとにかく全部聴いてほしいんで、1曲目で「わー、こいつらパンクっぽいなあ」とかそういう先入観を与えないような、今のJBっぽい曲を持ってこれたんじゃないかなと。
ホ:パンクバンドの売り方って、「THE BLUE HEARTSの1stの人」が多すぎるんですよ。でも僕がTHE HIGH-LOWSから入ってたりするんで、フックが効いてて、なおかつわかりやすくて、でも歌詞は1回聴いただけじゃわからないっていう。......やつです。
全:(笑)
い:結果、雑やな(笑)。
ホ:(笑)まあでも、聴けば聴くほど、ロックバンドじゃなくてパンクバンドなんだなっていうのはわかりました。
人に売ってもらうわけじゃないから、自分らの力で売るってなったときに、自分たちが一番説明しやすいもののほうが売りやすい。それは曲順でやっぱり変わってくると思うし。1曲目、2曲目にリードトラックを入れるというやり方もあるのかもしれないけど、関係あれへんから(笑)。むしろ、たどり着いてみろやって思うし。いまのJBのライブでも、「ノートワ」がわからなかったら結構おもんないと思うんで。全部言うてしまってるとこがあるから。
■象徴的な始まり方ということですね。
ホ:まあ、たぶん2曲目の「ナイトライダー」までですよね、ぎりぎりみんなを許容できるのはね。そっからはもう、「知らんわ!」って感じになりますからね(笑)。
■このタイミングで「よし、いまアルバムだ!」って感じになったきっかけはあるんでしょうか?
ホ:カッキーが入った直後から、死ぬほどライブやったんですよ。アホかっていうぐらい。(4月の)周年ぐらいまで。じゃあ次にやるのはレコーディングだと。作品を作って出したい。JBは5年間で5人めのドラマーになって、ずっと変わらずにいたフロントの3人が、特に言葉も交わさず「あ、こいつやったら」って思えた。で、これは僕の中での話ですけど、はなからレーベルを探す気はなくて、自分たちでやろうと。レーベルと組んでやって、レーベルにお金を持ってかれてるところは何かというと、それは営業やと思ったから、じゃあそこは自分らでやったらいい。一発目やし大変かもしれへんけど、でもやれると思ったんですよ。いずべい☆が元々イベンターだったり、僕の仕事とかもあって、その「仕組み」を知ってるから。ずっとやりたかったことでもあったし。で、どうせ自分らでやるんやったら、まずシングルを出してどうのこうのっていうしょうもないことするより、いきなりフルアルバムを出して、みたいな全部逆のことしたろと。で、今回はクリックなしのベーシック一発録りで、今まで作った音源でもなかったくらい、ボーカルがほぼワンテイクなんですよ。
ウ:2テイク目も録ったけど結局最初のがよかった、とかね。
ホ:直したとこもほんとに少なくて。「ボーカル録りには時間をかけたほうがいいよ」という常識とかも全部覆してやろうと。絶対一発目が一番いいに決まってるじゃないですかそんなもの。なんかもう、「人間のハートなめんな」って思えたんで。だって、なあ? 繕(つくろ)ったものを(レコードで)出してライブでがっかりされるほど残念なことはないので。ライブに来続けてくれてる子とかがちゃんと納得できるものであり、何て言うのかな......中学生とか高校生とかが、作られたものじゃないところでちゃんと夢見れるものにしたかったんですよ。ナントカ○○○ットとか、あるじゃないですか。あんなちゃんと線路引きまくってね、お前らそれで売れんかったら捨てるんやろどうせってなるから。そうじゃなくて、ちゃんと「パンクが好きだ」っていうところで、ドゥ・イット・ユアセルフでやれるんだよっていうところをやりたかった。ほんとハイスタ(※1)みたいなもんですよね。俺らはそういうのを見てきた世代やから、そういうロマンをちゃんとマーケットに提示したかったのもあるし。本当に提示できるのかどうかはまだこれからですけど。とにかく繕うのが嫌やって。極力、直さなかったもんね。リズムねじれてるところとかもあるんですよ。
い:過去に一回、きっちりしたところでのレコーディングというのも通ってきて、その上でいざ今回体制が整って「出そう!」ってなったときに、そうじゃないな、っていうところに落ち着いたから、ここはもう、変われへんかな。さっきホシヲも言ってたけど、CD聴いてワクワクしてライブに来てがっかりされるのはいちばんアウトやと思うんですよ。4人ともライブが好きなんで。どちらかというと、「ライブ観て、CD買いたい」派なんで。
ホ:それもあって、手売りしたいという点も考えると、ね(=既存のレーベルとは組まない方向)。だって、ねえ。わかんないじゃないですか。誰が売れてるとか。「テレビ信じんなよオマエラ!!」(笑) 手売りでガッツリ売れる自信はあるし、そのためにはいろんなとこ行かなきゃいかんし。なんか、ちゃんと背負えましたね。(3月の)地震とかもでかいと思うんですけど、変な話ですけど。ああいうのがあって、東北とかいままで僕らの中ではツアーの圏外だったんですけど、行って何があるんだ、っていうんじゃないなと。カッコつけて「音楽は何もできひん」と思ってたんですけど、そうじゃないなと思うんですよ。ライブハウスに通ってたやつは絶対おるし、そいつらはライブハウスに行けなくなって悶々としとるし、そこに、地震の被害がなくてボケることしか考えてないような関西人がね、バーって行って、できることって絶対あると思うんですよね。で、そこにCDを残す、っていうほうが、大事だと思うんですよ。タワレコで何枚売れるってのももちろん大事で、それを考えてないわけじゃないですけど、ちゃんと現場でやりたいっていうのがあるんで。だから、「東京でもやってください」って求められるとこまで現場をどんどん大きくしていこうっていうか。現場からの声で上がっていくバンドだと思うんで。
■14曲のフルアルバムとなると結構大変なものだと思うんですが、制作にあたっては全体像をあらかじめだいたい描いてから作ったのか、作りながら最終型を模索していったのかというあたりはいかがでしょうか。
ホ:まず曲をピックアップして。いままで聴いてくれてきた人たちと、これから聴いてくれる人たちを全部許容するものにしたかったんです。こんにちは、みたいな。でも、ピックアップされた曲が、4人で話し合ってあの14曲になっているというところでは、最初からコンセプトはできてるのかもしれないです。
ウ:順番は録ってから考えたね。
ホ:順番はそれをどう見せるかっていうだけの話なんで。
ウ:個人で考えてきた案を出し合ってたら全然決まらなかったんですけど、4人で話したら一発でバツっと決まったんですよ。あれは京都やったっけ。
カ:びっくりドンキーですね。
ウ:ライブの帰りにみんなで話して決めたらすぐ決まった。発想も良かったよね。最後がエンドロールのようなイメージでっていう。
ホ:なんかね、ハイロウズ/ブルーハーツで話をしますけど、『STICK OUT』と『DUG OUT』が一緒に入ってるアルバムにしたかったんですよ。今回未収録の曲とかもたくさんあるんですけど、そいつらが入るとたとえば『HIGH KICKS』みたいになってきたりする。シリアスなんだけど、チョケるとこはチョケる。チョケてるように見えるけどやっぱり曲はシリアスな曲のほうが多いから(笑)、シリアスな部分をメインに持っていきたかったんで。
ウ:極端なやつは排除したもんな。
ホ:裏と表、右と左、光と闇、みたいなことを描いてるところもあるんで、無意識かもしれんけど、そうしたかったですね。
い:録りたい曲を最初に出し合ったときに、もうほんとに多くて、それはさすがにね、っていうところでなんやかんやで最終的にシュッてなったし。
ウ:レコーディング当時できたてやった曲も絶対入れなあかんと思ったし。
ホ:「今までのキラーチューン全部入れてアルバムにしたらええ」っていう考え方もあるけど、そんなん全然おもんないし。「え、それ作ってどうなるん?」ってなるし。今まで応援してきてくれてる子とか、遠くに引っ越してライブ全然来られへんけどCDできたら教えてよって言ってくれてる子たちとか、とりあえずそこにスジ通さなあかんと思うんですよ、僕らは。で、さらに、新しい人もいるし、っていうところでのバランスかなとは思いますね。で、やっぱ全部新録にしてよかったと思う。そうじゃなきゃ出したくないし。6年目にしてやっと、「JUNIOR BREATHです」って言える感じになったんで。コンプレックス、ゼロですからね。今。こんなヘタクソで、オッサンばっかりのバンドですけど。でも、待ってる人がいると思いますもん。しかも若い衆が。
ウ:いま若い子が聴いてるところにはいないと思いますよ、こんなバンドは。そこにピンポイントで入り込めると思う。
ホ:退屈してる子らがいるんですよ。現場には。
い:レールには乗らないんですよ。わかりやすいレールに乗ったら楽やし苦労せえへんかもしれへんけど、
ホ:「それ、意味ある?」ってなるもんな。
い:続かないじゃないですか、それは。バーンて売れるけど、続かへん。そうなるぐらいやったら、やりたいことやって、わかってくれる人に届けたい。
ホ:お金儲けしたいんやったら音楽とかやめれば、って思いますね。おもろいことしてお金に変えたいから俺らはこれをやってるわけで。お金儲けるんだったら、うちのグッズとか何でも買った人の全員が笑顔じゃないと、それは儲けたことにならんし。もうひとつ儲けてないとね。だからグッズとかはしっかり作りたいし。面白い事しか考えたくないし。なんで面白い事をみんな諦めるんやろな。
い:俺がずっと思ってるのは、いっぱいかっこええバンドいてるけど、俺はより中心にいたいんですよ。ブームに乗っかるんじゃなくて、面白いことを発信してる側に、その真ん中へ真ん中へ行かないと。そう思ってるか思ってないかで、格段に違うし、このバンドではそれができると思うから、そんなレールに乗らんでも、求心力っていうか......
ホ:ロックとかパンクとかっていう言葉を、簡単に使ってほしくないんですよね。突っ張れないだったら、やめたほうがいいって思うんです。俺らがロックンロールとかパンクとかに出会ったときに思ったのは、「全然ちゃう」からカッコよかったし、例えばBLANKEY JET CITYの照井さんの格好で街を歩くって、根性いるじゃないですか。夏に皮パンに白のタンクトップで墨入っててリーゼントでって。でも、いまのロックスター......ロックスターなんかいねえし、ロックスターを諦めてるから腹立つんですよ。ほんまに。だって、え、何になりたいん?って。アイコンにならなあかんと思うし。薄めてどうするんみたいな。見た目、いる。見た目、いる。見た目いるよー。「JUNIOR BREATHがいちばんなりたいバンドはJUDY AND MARYです。」人の悲しみを助長するようなことじゃなくていいんですよ。こうなりたい、っていう人じゃないじゃないですか、普段は。すぐ道で寝るし(笑)。だけど、ステージに上がったらそうじゃないじゃないですか。ステージに立ってたら、フロアの誰しもが俺には追いつけないんですよ。っていう4人でやってるバンドがJUNIOR BREATHなんで。俺の後ろであのパッションでいまドラム叩けるのはカッキーだけなんですよ。
カ:(手を挙げる)
ホ:このぐらいのパッションでやれないドラムだったらいらんし。殴りますからね、今だったら。
CDっていうのは持って帰って聴いてもらいたいツールなんですけど、自分の目で見たものとかは大事にしたいですよね。だから「ノートワ」から始めました。
■僕みたいな古い付き合いの人間からすると、「オールスター」が、しかもこれまで演奏されてきた中で最も美しい形で収録されてるというのが。
ホ:僕とウェールが前にやってたバンドの曲で、当時一度レコーディングしたときにもゲストで女性ボーカルを入れたんだけど、その形がやっぱり捨てきれなくて、でMs.local crimbersの(石田)千尋ちゃんに話を振って。あいつ、やりおったよな。
ウ:あの時に全部ポテンシャル出してくれたんやなあと思う。
ホ:あれは絶対に俺では出せないメロディラインやし。
ウ:石井ちゃん(=GEAR、エンジニア)もすごい引き出してくれたし。彼のアイディアも盛り込んであるんですよ。
■終盤にかけての広がり具合がすごいよね。
ホ:「何してんねん!」って思ったもん(笑)。
カ:笑ってましたもんね。
い:リードトラックにするか悩んだくらいやもんね。「オールスター」なんかは、今やからスッと出せるようになったんですよ。初期の頃から前のバンドの曲をやりたいっていう話はあったけど、ずっと却下してて。「JBとしてやりたいんやから、今はあかんと思う」ってずっと言ってたんですけど、今ならJBとしてしっかり確立したところがあるから。今の4人で理解して作品にできるんやったらそれは素直に受け入れていけるんじゃないかと。そういうことも踏まえて、今回収録できたのはよかったと思いますね。
ウ:録って聴いてみても、確実にいまのこの各個人が弾いてるからこそ成り立ってる音なので。
ホ:今の我々はだいぶ共有率が高いんで。
い:バンドの空気はすごくいいよね。すさまじくいいですよ。
■外から見ててもそれはわかります。
い:ダメなところとか雑なところとかみんな受け入れてやってるから、バンドに対しても「こうじゃないとあかん」っていうのがない。
ホ:「こうするためにどうしようか?」っていうのだけやな。
■しかし、雨降るね。(※2)
カ:雨じゃなかったんですよね、最初。
ウ:始まりは、雪やったんです。
カ:入ってすぐ、初めて東京行ったんですけど。ほんとに大雪で。出発の時から、スタッドレスタイヤでいこうと。
ウ:東名は名古屋以降通行止めという状態で、中央道しかなくて。同時に移動してるツアーバンドと情報交換しながら移動するみたいな。で、サービスエリアで通行止め情報のパネルを撮ってツイートしたら、リツイート数が今まででいちばんだった(笑)。
カ:その時は僕は責められてないんですよ。
ウ:東京に行くわけやし、毎年1回はそんなことはあるじゃないですか。2回目がありましたね。2月に高知に行くと。まあまず雪とか降らへんやろと。これが出発の時から、阪神高速全面通行止めから始まりまして。
カ:いずべい☆ん家に泊まっててん。朝、窓開けたら白かったからね。大阪。
ウ:観測史上まれに見る大雪。スタートしても高速はほとんどが通行止めで、下道で行くしかなかった。
い:次の日すごい天気がよくて、桂浜とか観光して高知を満喫して、さあ帰ろうと車に乗った瞬間に雪降ってきた。
ウ:再び全線通行止め。
ホ:あれはすごかった。
い:で、こんどはカッキーが夜勤のバイトから帰ってきて、「俺、きょう何日かわかんないです。俺の中ではまだ○日なんですよー」って言った次の日から、ライブの次の日に雨降るようになったんです。
カ:そんなん言った? 俺? まじすか?
い:ホントすごいです。
い:ホシヲとよくメールしてるんですけど、けっこう今俺らの中では、周りに対して下克上的な感じなんですよ。
ホ:パイセン殺しな感じです。
い:去年のリリースの話を飛ばしてお蔵入りにしたり、ここまですごい足踏みしたんで。周りの人からしたら、「ああ、ずっと名前は聞くけど」みたいな感じやと思うんですよ。でもやっと体制整ったから、こっからは下克上ですよ。
ホ:築いてきたものを全部潰したいんですよね。前のバンドの時から持ってきてるものなのかもしれないですけど。まだ第一線に行けてない。とりあえず勝たなあかんと思うんです。
い:これまではその戦場に飛び込めないところで止まってしまってたから。でもここへ入って行くからにはね。
ホ:とりあえず全部しばいていきます。
カ:(4月の)周年終わったとこで、「ああ、JUNIOR BREATHになったな」って思ったんですよ。それまでほんまね、(ここで全員がカッキーをいたぶりはじめる)クッソみたいにライブさせられてね、ほんまもう、だいぶ辛かったですよ。
ホ:偉なったねえ?
い:明日ライブ、雨なん?
カ:やーもう、もちろん。(※台風が近づいていました。)
■タイトルの話を聞いてなかったね。
ホ:人生が不幸なんですよ(笑)。おはようとかおやすみっていう挨拶を......
■「僕達とTシャツの日々」の一節にもありますね。
ホ:そうなんです。そういう挨拶を言える人がいる幸せって、みんな結構今、わかってないと思うんですよ。
ウ:あんまり意識してなかったり。
ホ:うん。でもね、人は死ぬんですよ。そこで、「and Good bye」っていうところが僕たちなりのパンクかと思います。誰かと出会うことで生まれることよりも、出会った人が大切であれば大切であるほど、いなくなった時のことを考えれば、みんなもっと人のこと大事にできるかなって。だめなんですよ、人は人を大事にしなくちゃ。
■では最後にひとこと!
い:今回は大規模にツアー周ります。北海道をはじめ行ったことないところにたくさん行きます。待ってくれてる人がいるところにはちゃんと行こうと。
ホ:僕のブログでアルバム全曲レビューをやるので、読んでください。あ、全員やるらしいっす! 全員全曲レビューやるんで!
※1 改めて説明するまでもありませんが、Hi-STANDARDは自らのレーベルPIZZA OF DEATH RECORDSを立ち上げ、当初はメジャー傘下ではあったものの、のちに完全に独立した自主レーベルとして運営されています。
※2 カッキーは雨男として名高い。
全:ありがとうございますー!
ウェール(以下ウ):兄貴(※インタビュアー廣瀬)の好きな曲「ノートワ」から始まるという。
■そうなんですよ!インタビュー予習中、うかつに涙しかけました。
ウ:「ノートワ」ってメンバーもみんなめっちゃ好きやからね。
is※▲(以下い):最近ライブで1曲目に演奏することが多いんですよ。変に気張らないっていうか。
カッキー(以下カ):スッと入っていける感じで。
い:どちらかというと、雑味あるバンドじゃないですか。カッコいいライブにしようとか変なこと考えんでよくなったんで。
■アルバムの1曲目にした、っていうのもやっぱりそういうのがあるのかな。いきなりバッキバキにカッコいい始まり方じゃないやん。完全にこれ音頭でしょ。14曲もあるアルバムをなかなかこういう始め方はできないと思う。
ホシヲ(以下ホ):チョケてますね。
ウ:セリフ(掛け声)から始まってるしね。
い:はじめは全然もっと(アルバムの始まりを)「シュッとする」感じで考えたんですよ。けど、アルバムにはギュッと詰め込んだからとにかく全部聴いてほしいんで、1曲目で「わー、こいつらパンクっぽいなあ」とかそういう先入観を与えないような、今のJBっぽい曲を持ってこれたんじゃないかなと。
ホ:パンクバンドの売り方って、「THE BLUE HEARTSの1stの人」が多すぎるんですよ。でも僕がTHE HIGH-LOWSから入ってたりするんで、フックが効いてて、なおかつわかりやすくて、でも歌詞は1回聴いただけじゃわからないっていう。......やつです。
全:(笑)
い:結果、雑やな(笑)。
ホ:(笑)まあでも、聴けば聴くほど、ロックバンドじゃなくてパンクバンドなんだなっていうのはわかりました。
人に売ってもらうわけじゃないから、自分らの力で売るってなったときに、自分たちが一番説明しやすいもののほうが売りやすい。それは曲順でやっぱり変わってくると思うし。1曲目、2曲目にリードトラックを入れるというやり方もあるのかもしれないけど、関係あれへんから(笑)。むしろ、たどり着いてみろやって思うし。いまのJBのライブでも、「ノートワ」がわからなかったら結構おもんないと思うんで。全部言うてしまってるとこがあるから。
■象徴的な始まり方ということですね。
ホ:まあ、たぶん2曲目の「ナイトライダー」までですよね、ぎりぎりみんなを許容できるのはね。そっからはもう、「知らんわ!」って感じになりますからね(笑)。
■このタイミングで「よし、いまアルバムだ!」って感じになったきっかけはあるんでしょうか?
ホ:カッキーが入った直後から、死ぬほどライブやったんですよ。アホかっていうぐらい。(4月の)周年ぐらいまで。じゃあ次にやるのはレコーディングだと。作品を作って出したい。JBは5年間で5人めのドラマーになって、ずっと変わらずにいたフロントの3人が、特に言葉も交わさず「あ、こいつやったら」って思えた。で、これは僕の中での話ですけど、はなからレーベルを探す気はなくて、自分たちでやろうと。レーベルと組んでやって、レーベルにお金を持ってかれてるところは何かというと、それは営業やと思ったから、じゃあそこは自分らでやったらいい。一発目やし大変かもしれへんけど、でもやれると思ったんですよ。いずべい☆が元々イベンターだったり、僕の仕事とかもあって、その「仕組み」を知ってるから。ずっとやりたかったことでもあったし。で、どうせ自分らでやるんやったら、まずシングルを出してどうのこうのっていうしょうもないことするより、いきなりフルアルバムを出して、みたいな全部逆のことしたろと。で、今回はクリックなしのベーシック一発録りで、今まで作った音源でもなかったくらい、ボーカルがほぼワンテイクなんですよ。
ウ:2テイク目も録ったけど結局最初のがよかった、とかね。
ホ:直したとこもほんとに少なくて。「ボーカル録りには時間をかけたほうがいいよ」という常識とかも全部覆してやろうと。絶対一発目が一番いいに決まってるじゃないですかそんなもの。なんかもう、「人間のハートなめんな」って思えたんで。だって、なあ? 繕(つくろ)ったものを(レコードで)出してライブでがっかりされるほど残念なことはないので。ライブに来続けてくれてる子とかがちゃんと納得できるものであり、何て言うのかな......中学生とか高校生とかが、作られたものじゃないところでちゃんと夢見れるものにしたかったんですよ。ナントカ○○○ットとか、あるじゃないですか。あんなちゃんと線路引きまくってね、お前らそれで売れんかったら捨てるんやろどうせってなるから。そうじゃなくて、ちゃんと「パンクが好きだ」っていうところで、ドゥ・イット・ユアセルフでやれるんだよっていうところをやりたかった。ほんとハイスタ(※1)みたいなもんですよね。俺らはそういうのを見てきた世代やから、そういうロマンをちゃんとマーケットに提示したかったのもあるし。本当に提示できるのかどうかはまだこれからですけど。とにかく繕うのが嫌やって。極力、直さなかったもんね。リズムねじれてるところとかもあるんですよ。
い:過去に一回、きっちりしたところでのレコーディングというのも通ってきて、その上でいざ今回体制が整って「出そう!」ってなったときに、そうじゃないな、っていうところに落ち着いたから、ここはもう、変われへんかな。さっきホシヲも言ってたけど、CD聴いてワクワクしてライブに来てがっかりされるのはいちばんアウトやと思うんですよ。4人ともライブが好きなんで。どちらかというと、「ライブ観て、CD買いたい」派なんで。
ホ:それもあって、手売りしたいという点も考えると、ね(=既存のレーベルとは組まない方向)。だって、ねえ。わかんないじゃないですか。誰が売れてるとか。「テレビ信じんなよオマエラ!!」(笑) 手売りでガッツリ売れる自信はあるし、そのためにはいろんなとこ行かなきゃいかんし。なんか、ちゃんと背負えましたね。(3月の)地震とかもでかいと思うんですけど、変な話ですけど。ああいうのがあって、東北とかいままで僕らの中ではツアーの圏外だったんですけど、行って何があるんだ、っていうんじゃないなと。カッコつけて「音楽は何もできひん」と思ってたんですけど、そうじゃないなと思うんですよ。ライブハウスに通ってたやつは絶対おるし、そいつらはライブハウスに行けなくなって悶々としとるし、そこに、地震の被害がなくてボケることしか考えてないような関西人がね、バーって行って、できることって絶対あると思うんですよね。で、そこにCDを残す、っていうほうが、大事だと思うんですよ。タワレコで何枚売れるってのももちろん大事で、それを考えてないわけじゃないですけど、ちゃんと現場でやりたいっていうのがあるんで。だから、「東京でもやってください」って求められるとこまで現場をどんどん大きくしていこうっていうか。現場からの声で上がっていくバンドだと思うんで。
■14曲のフルアルバムとなると結構大変なものだと思うんですが、制作にあたっては全体像をあらかじめだいたい描いてから作ったのか、作りながら最終型を模索していったのかというあたりはいかがでしょうか。
ホ:まず曲をピックアップして。いままで聴いてくれてきた人たちと、これから聴いてくれる人たちを全部許容するものにしたかったんです。こんにちは、みたいな。でも、ピックアップされた曲が、4人で話し合ってあの14曲になっているというところでは、最初からコンセプトはできてるのかもしれないです。
ウ:順番は録ってから考えたね。
ホ:順番はそれをどう見せるかっていうだけの話なんで。
ウ:個人で考えてきた案を出し合ってたら全然決まらなかったんですけど、4人で話したら一発でバツっと決まったんですよ。あれは京都やったっけ。
カ:びっくりドンキーですね。
ウ:ライブの帰りにみんなで話して決めたらすぐ決まった。発想も良かったよね。最後がエンドロールのようなイメージでっていう。
ホ:なんかね、ハイロウズ/ブルーハーツで話をしますけど、『STICK OUT』と『DUG OUT』が一緒に入ってるアルバムにしたかったんですよ。今回未収録の曲とかもたくさんあるんですけど、そいつらが入るとたとえば『HIGH KICKS』みたいになってきたりする。シリアスなんだけど、チョケるとこはチョケる。チョケてるように見えるけどやっぱり曲はシリアスな曲のほうが多いから(笑)、シリアスな部分をメインに持っていきたかったんで。
ウ:極端なやつは排除したもんな。
ホ:裏と表、右と左、光と闇、みたいなことを描いてるところもあるんで、無意識かもしれんけど、そうしたかったですね。
い:録りたい曲を最初に出し合ったときに、もうほんとに多くて、それはさすがにね、っていうところでなんやかんやで最終的にシュッてなったし。
ウ:レコーディング当時できたてやった曲も絶対入れなあかんと思ったし。
ホ:「今までのキラーチューン全部入れてアルバムにしたらええ」っていう考え方もあるけど、そんなん全然おもんないし。「え、それ作ってどうなるん?」ってなるし。今まで応援してきてくれてる子とか、遠くに引っ越してライブ全然来られへんけどCDできたら教えてよって言ってくれてる子たちとか、とりあえずそこにスジ通さなあかんと思うんですよ、僕らは。で、さらに、新しい人もいるし、っていうところでのバランスかなとは思いますね。で、やっぱ全部新録にしてよかったと思う。そうじゃなきゃ出したくないし。6年目にしてやっと、「JUNIOR BREATHです」って言える感じになったんで。コンプレックス、ゼロですからね。今。こんなヘタクソで、オッサンばっかりのバンドですけど。でも、待ってる人がいると思いますもん。しかも若い衆が。
ウ:いま若い子が聴いてるところにはいないと思いますよ、こんなバンドは。そこにピンポイントで入り込めると思う。
ホ:退屈してる子らがいるんですよ。現場には。
い:レールには乗らないんですよ。わかりやすいレールに乗ったら楽やし苦労せえへんかもしれへんけど、
ホ:「それ、意味ある?」ってなるもんな。
い:続かないじゃないですか、それは。バーンて売れるけど、続かへん。そうなるぐらいやったら、やりたいことやって、わかってくれる人に届けたい。
ホ:お金儲けしたいんやったら音楽とかやめれば、って思いますね。おもろいことしてお金に変えたいから俺らはこれをやってるわけで。お金儲けるんだったら、うちのグッズとか何でも買った人の全員が笑顔じゃないと、それは儲けたことにならんし。もうひとつ儲けてないとね。だからグッズとかはしっかり作りたいし。面白い事しか考えたくないし。なんで面白い事をみんな諦めるんやろな。
い:俺がずっと思ってるのは、いっぱいかっこええバンドいてるけど、俺はより中心にいたいんですよ。ブームに乗っかるんじゃなくて、面白いことを発信してる側に、その真ん中へ真ん中へ行かないと。そう思ってるか思ってないかで、格段に違うし、このバンドではそれができると思うから、そんなレールに乗らんでも、求心力っていうか......
ホ:ロックとかパンクとかっていう言葉を、簡単に使ってほしくないんですよね。突っ張れないだったら、やめたほうがいいって思うんです。俺らがロックンロールとかパンクとかに出会ったときに思ったのは、「全然ちゃう」からカッコよかったし、例えばBLANKEY JET CITYの照井さんの格好で街を歩くって、根性いるじゃないですか。夏に皮パンに白のタンクトップで墨入っててリーゼントでって。でも、いまのロックスター......ロックスターなんかいねえし、ロックスターを諦めてるから腹立つんですよ。ほんまに。だって、え、何になりたいん?って。アイコンにならなあかんと思うし。薄めてどうするんみたいな。見た目、いる。見た目、いる。見た目いるよー。「JUNIOR BREATHがいちばんなりたいバンドはJUDY AND MARYです。」人の悲しみを助長するようなことじゃなくていいんですよ。こうなりたい、っていう人じゃないじゃないですか、普段は。すぐ道で寝るし(笑)。だけど、ステージに上がったらそうじゃないじゃないですか。ステージに立ってたら、フロアの誰しもが俺には追いつけないんですよ。っていう4人でやってるバンドがJUNIOR BREATHなんで。俺の後ろであのパッションでいまドラム叩けるのはカッキーだけなんですよ。
カ:(手を挙げる)
ホ:このぐらいのパッションでやれないドラムだったらいらんし。殴りますからね、今だったら。
CDっていうのは持って帰って聴いてもらいたいツールなんですけど、自分の目で見たものとかは大事にしたいですよね。だから「ノートワ」から始めました。
■僕みたいな古い付き合いの人間からすると、「オールスター」が、しかもこれまで演奏されてきた中で最も美しい形で収録されてるというのが。
ホ:僕とウェールが前にやってたバンドの曲で、当時一度レコーディングしたときにもゲストで女性ボーカルを入れたんだけど、その形がやっぱり捨てきれなくて、でMs.local crimbersの(石田)千尋ちゃんに話を振って。あいつ、やりおったよな。
ウ:あの時に全部ポテンシャル出してくれたんやなあと思う。
ホ:あれは絶対に俺では出せないメロディラインやし。
ウ:石井ちゃん(=GEAR、エンジニア)もすごい引き出してくれたし。彼のアイディアも盛り込んであるんですよ。
■終盤にかけての広がり具合がすごいよね。
ホ:「何してんねん!」って思ったもん(笑)。
カ:笑ってましたもんね。
い:リードトラックにするか悩んだくらいやもんね。「オールスター」なんかは、今やからスッと出せるようになったんですよ。初期の頃から前のバンドの曲をやりたいっていう話はあったけど、ずっと却下してて。「JBとしてやりたいんやから、今はあかんと思う」ってずっと言ってたんですけど、今ならJBとしてしっかり確立したところがあるから。今の4人で理解して作品にできるんやったらそれは素直に受け入れていけるんじゃないかと。そういうことも踏まえて、今回収録できたのはよかったと思いますね。
ウ:録って聴いてみても、確実にいまのこの各個人が弾いてるからこそ成り立ってる音なので。
ホ:今の我々はだいぶ共有率が高いんで。
い:バンドの空気はすごくいいよね。すさまじくいいですよ。
■外から見ててもそれはわかります。
い:ダメなところとか雑なところとかみんな受け入れてやってるから、バンドに対しても「こうじゃないとあかん」っていうのがない。
ホ:「こうするためにどうしようか?」っていうのだけやな。
■しかし、雨降るね。(※2)
カ:雨じゃなかったんですよね、最初。
ウ:始まりは、雪やったんです。
カ:入ってすぐ、初めて東京行ったんですけど。ほんとに大雪で。出発の時から、スタッドレスタイヤでいこうと。
ウ:東名は名古屋以降通行止めという状態で、中央道しかなくて。同時に移動してるツアーバンドと情報交換しながら移動するみたいな。で、サービスエリアで通行止め情報のパネルを撮ってツイートしたら、リツイート数が今まででいちばんだった(笑)。
カ:その時は僕は責められてないんですよ。
ウ:東京に行くわけやし、毎年1回はそんなことはあるじゃないですか。2回目がありましたね。2月に高知に行くと。まあまず雪とか降らへんやろと。これが出発の時から、阪神高速全面通行止めから始まりまして。
カ:いずべい☆ん家に泊まっててん。朝、窓開けたら白かったからね。大阪。
ウ:観測史上まれに見る大雪。スタートしても高速はほとんどが通行止めで、下道で行くしかなかった。
い:次の日すごい天気がよくて、桂浜とか観光して高知を満喫して、さあ帰ろうと車に乗った瞬間に雪降ってきた。
ウ:再び全線通行止め。
ホ:あれはすごかった。
い:で、こんどはカッキーが夜勤のバイトから帰ってきて、「俺、きょう何日かわかんないです。俺の中ではまだ○日なんですよー」って言った次の日から、ライブの次の日に雨降るようになったんです。
カ:そんなん言った? 俺? まじすか?
い:ホントすごいです。
い:ホシヲとよくメールしてるんですけど、けっこう今俺らの中では、周りに対して下克上的な感じなんですよ。
ホ:パイセン殺しな感じです。
い:去年のリリースの話を飛ばしてお蔵入りにしたり、ここまですごい足踏みしたんで。周りの人からしたら、「ああ、ずっと名前は聞くけど」みたいな感じやと思うんですよ。でもやっと体制整ったから、こっからは下克上ですよ。
ホ:築いてきたものを全部潰したいんですよね。前のバンドの時から持ってきてるものなのかもしれないですけど。まだ第一線に行けてない。とりあえず勝たなあかんと思うんです。
い:これまではその戦場に飛び込めないところで止まってしまってたから。でもここへ入って行くからにはね。
ホ:とりあえず全部しばいていきます。
カ:(4月の)周年終わったとこで、「ああ、JUNIOR BREATHになったな」って思ったんですよ。それまでほんまね、(ここで全員がカッキーをいたぶりはじめる)クッソみたいにライブさせられてね、ほんまもう、だいぶ辛かったですよ。
ホ:偉なったねえ?
い:明日ライブ、雨なん?
カ:やーもう、もちろん。(※台風が近づいていました。)
■タイトルの話を聞いてなかったね。
ホ:人生が不幸なんですよ(笑)。おはようとかおやすみっていう挨拶を......
■「僕達とTシャツの日々」の一節にもありますね。
ホ:そうなんです。そういう挨拶を言える人がいる幸せって、みんな結構今、わかってないと思うんですよ。
ウ:あんまり意識してなかったり。
ホ:うん。でもね、人は死ぬんですよ。そこで、「and Good bye」っていうところが僕たちなりのパンクかと思います。誰かと出会うことで生まれることよりも、出会った人が大切であれば大切であるほど、いなくなった時のことを考えれば、みんなもっと人のこと大事にできるかなって。だめなんですよ、人は人を大事にしなくちゃ。
■では最後にひとこと!
い:今回は大規模にツアー周ります。北海道をはじめ行ったことないところにたくさん行きます。待ってくれてる人がいるところにはちゃんと行こうと。
ホ:僕のブログでアルバム全曲レビューをやるので、読んでください。あ、全員やるらしいっす! 全員全曲レビューやるんで!
※1 改めて説明するまでもありませんが、Hi-STANDARDは自らのレーベルPIZZA OF DEATH RECORDSを立ち上げ、当初はメジャー傘下ではあったものの、のちに完全に独立した自主レーベルとして運営されています。
※2 カッキーは雨男として名高い。
(text: Fireloop廣瀬)
■ライブ情報
10/10 Mon
JUNIOR BREATH presents eightbeat sickness ver.13
w/ The Boogie Jack(名古屋) / DATSUN320(名古屋) / セックスマシーン / ザ・サイレンズ
17:30/18:00 ¥2,000/2,500
