[コラム]山田好転(水、走る)の『元軍人でウルグアイ出身の性格が悪い陰陽師兼妖精コラム〜全然、怪しくないです〜』(2016/10)

[コラム]山田好転(水、走る)の『元軍人でウルグアイ出身の性格が悪い陰陽師兼妖精コラム〜全然、怪しくないです〜』(2016/10)


《唄わない旅》

・前回までのシンプルなあらすじ

大阪から沖縄に旅行しに来て二日目の夜を終えたところ。

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・第九章

一体、何章あるんだとお思いの読者さまも多数いらっしゃると思います。六月からの月に一度の連載ですからもう早四ヶ月になる。

たった三泊四日のことをこんなに長期連載するとは。

書くのは一日だったんですが読むのは大変かなあと。一回目の掲載時には全て書きあがってます。という余談。

三日目の予定は、絶対に外せなかったので前日は飲み歩いたわりに潰れることはなかった。

前夜に車へ押し込んだ盗難車よろしくのクロスバイクをそのままに前田が所有するマエディアン号に乗り、早朝から自転車では行けない距離へ北上。

恩を納める村と書いて恩納村。そこにある青の洞窟へのダイビング。

今回の旅の目玉だ。

日々、水中にいる時間が人より長いし背負ってる看板にも影響してるから完全に興味しかない。

講習を受けていたらベテランダイバーらしき人が「僕が君らと一緒に行くね」と言ったが、この人物がかなりイケてた。

他の参加者はギャルで、他のインストラクターはギャル男だったのでチャラいダイブになると思っていたのだが件の海人は本気モード。

実際、他のグループや他のスクール(といえばよいのか?)がいないところまで潜った。

この体験はかなり貴重。

陸では持ったまま立てない重さのボンベを船のへりの部分を跨ぎ、半身は船内、もう半身は海に投げ出して背負う。

じゃあ!どうぞ!と言われてこの身を海に投げ出した。

船の側面に繋げられたロープを手に取り水中での身のこなし、先ほど講習を受けたボンベでの呼吸を実践。

あー、いけるな。これは僕いけるわ。

じゃ!いこっか!と素敵な笑顔でベテランダイバーが言うので潜る。

すぐ耳が痛くなり、耳抜きをする。潜る。も、またすぐ耳が痛い。耳抜き。を何度か繰り返し、手を引かれるままに進んでいけばもう水面は遥か高くに。

振り返ってもうこんなに潜ったのか。と少し恐ろしくなった。トラブルが起きれば命の保証はない。受付で一筆書いたのを思い出す。

青の洞窟と呼ばれる美しい場所だが潜っている間は暗闇。目が慣れてもほとんど何も見えない。光など差し込まず闇に向かって進んでいく。

事前に、帰りに見える光景が青の洞窟と呼ばれる所以だと聞いていたのだが暗い!暗すぎる!

ダイビングに必要なのは平常心。とにかく落ち着いて慌てず素早く行動すること。それが出来ないならやめた方がいい。

しばらく潜って先導してくれていたダイバーが後ろへ回った。

ということはつまり、目の前の暗闇を自分の意志でひたすら潜るということ。

これがかなりスリリングであった。

そのまま洞窟の深部まで行ったら左に大きく旋回して魚が多くいるポイントで餌付けをした。

魚たちはここによく来る人間だと認識しているので餌を持っていることは学習している。

何も持っていない手を30匹以上から噛み付かれてドギマギした。

陸上で魚は触れない。ヌルッとしてるし、なんかキモいので無理。

小学生の時の林間学校では魚掴み取り大会への参加を断固拒否した。拒否し続けた。魚が放流された小さな囲いの中にさえ入ることを拒んだ。痺れを切らした教師とディベート。正論に次ぐ正論にて論破。不参加&食事の拒否を勝ち取った。

そんなことはさておき、渡された餌を少しずつ初対面の魚たちに配っているとエグい色の奴がいた。

空よりも青く、その科学的で体に悪そうな異常な青さ。気色悪かった。

しかし彼は今日もあの海で泳いでいる。魚に客観的視点はないだろうから誰にも疎外されず群れの中を生きていけるでしょう。

潜っている間、当然だけれど口は聞けない。

ジェスチャーのみでのコミュニケーション。

どうやらもう海面へ顔を出す時が来たようで上昇。

結局、8m〜10mほどの深さまで潜っていたらしい。

ボンベからの酸素ではなく地上の酸素を吸う。生きて帰って来れた。よかった。

余談ですがダイビングの一部始終を手首につけたカメラで録画していたんですが、インストラクターに手を引かれてる間ずっと股間にカメラが向いていたので約15分間はおじさんの股間の映像でした。南無!

船に上がって拠点に戻りサーフスーツを脱ぎ捨てて、今度はパラセーリングの準備。

脱ぎ捨てたサーフスーツは、だゆんだゆんで村上龍のコインロッカーベイビーズに出てくる島のあの人を思い浮かべて気分が悪くなりました。

しばらく待って、パラセーリングをするべくクルーザーに乗り込んで移動。

なんだか書くのが面倒になってきました。

なんやかんや楽しかったです。

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・第十章

那覇市内に戻ってステーキを食べた。沖縄名物のほぼ生焼けステーキで、血の滴る感じでしばらくしてからお腹痛くなった。

そのまま家に戻って休憩して飲みに行ってビリヤードして飲み過ぎて二日酔いで瀕死状態で昏睡。

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・第十一章

朝起きてもちろん二日酔いでずっと吐いて胆汁が出てきてつらすぎてもう本当に殺して欲しかった。

それから本当は水族館に行く予定だったけれどしんどいから無理って言って、かわりになんか観光名所に連れてってくれたけど本当にしんどかったし、別の友達と会ってご飯食べて、けど二日酔いで本当にしんどかった。

そのあともう旅行とか観光とか愛とか友情とか全部どうでもよくなって瀕死の状態で空港にいって飛行機に乗って帰った。

終わり。

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◆自己紹介
山田好転(Yamada Koooooten)
大阪の『水、走る』というバンドのフロンマンで、ソロ名義での弾き語り活動もしています。元軍人でウルグアイ出身の性格が悪い陰陽師兼妖精です。全然、怪しくないです。
◆Twitter
koooooten(個人)
mizuhashiru(バンド)


◆HP
mizuhashiru.com