[コラム]山田好転(水、走る)の『元軍人でウルグアイ出身の性格が悪い陰陽師兼妖精コラム〜全然、怪しくないです〜』(2016/08)

[コラム]山田好転(水、走る)の『元軍人でウルグアイ出身の性格が悪い陰陽師兼妖精コラム〜全然、怪しくないです〜』(2016/08)


《唄わない旅》

・前回までのあらすじ

沖縄に着いた。

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・第五章

水陸両用の下半身&半乾きのラッシュガード大佐の背中部分との接地面がじんわり濡れることを許容してくれたリュックには感謝したい。

睡眠不足と殺意を感じる陽射しと爆サイクリングに消耗した身体を癒すため次の目的地へ。

目指すは『Terme VILLA ちゅらーゆ』へ向かう。

黒目茶目爺にクロスを借りてトロピカルビーチまで約10キロ。次の目的地までは約6キロ。だいたい20分ぐらいで着くが小腹が空いたのと、地元民の観察のため町のスーパーへ入る。

日常的によく行くし、スーパーが超好きなので色々見て回るが物価はさして変わらない。

せっかくなので大阪になさそうな惣菜を買って軒先のベンチで食べる。

緩やかに流れる午後の先鋒隊を見送り小休止したのち、新相棒カスティーヨに跨る。

ゴーヤロードをまだなおひたすら北上し、美浜の交差点を左折し到着。

ちゅらーゆってなに?という説明は知らない単語が出てくる度に調べる諸賢読者にはもう必要ない情報であろうが、いわゆるスーパー銭湯である。

調べた方はご理解頂けただろうが温泉と風呂とジャグジーとプールとサウナがあって更にビーチにもそのまま出れる。

これは職場の上司にご教授賜り初日の行程を130°ほど変更した結果の成功であった。

ひたすらに身体を休めて潮の匂いを落として、ぬるいジャグジーから、プールサイドに置かれたデッキチェアから、水平線に沈んでいく夕日を見ていた。

ちゅらーゆのそばにあるのは『サンセットビーチ』であり、太陽と海が溶け合う美しさは筆舌に尽くしがたい。

その眼で実際に見るべき光景の一つであろう。

映画「ノッキンオンヘブンズドア」に出てくる、天国で流行ってる海の話をする日が僕に来ればここのことを話すだろう。

放心しながら風呂を上がり、男湯と書かれた暖簾をくぐると目の前に看板。

そうそう!こーいうの待ってました!

来場者用のスリッパがあり、今度は違う方向から外へ出る。トラック屋台風の店でナチョスを買ってビーチに置かれたテーブルへ着席。

すっかり日が落ちて辺りは暗く、海も昼間とは別の表情でこちらを見ている。それが恐ろしくもあった。

屋台からはジャックジョンソンよろしくのイケてるサーフミュージックが、わりと色々気になるぐらいの爆音で流れている。

思い出してため息をついた。なんと豊かな時間であっただろうか。

しばらく知らない人達とどうでもいい会話をしながら。那覇から昼間に自転車で来たって言ったらだいたい驚かれながら。

夜になったので繁華街へ。

次なる目的地は『美浜アメリカンビレッジ』

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・第六章

HAHAHAHAHA!

Helo!

I'm Jude.

I live concerning military service here.

Both inhabitants and a tourist are everybody companions impartially here.

Ah,,オキッ、、オキナワエエトコイチドハキンシャイ!

ヘイ!ジュード!僕のコラムを乗っ取るなよ〜!

読者の皆様、美浜で友達になったジュードが勝手に登場してしまったようで文体の変化に驚かれたであろう。

しかしながらご心配なく。現実世界の僕に外国の友人は出来ていない。どいつもこいつも身体がゴツくて話しかけることは出来なかったのだ。

大阪での生活圏はいわゆるキタと呼ばれる梅田周辺で、いわゆるミナミと呼ばれる心斎橋周辺には用事が二つ以上ないとなかなか行かない。

ミナミには若者の街と呼ばれる『アメリカ村』があるが、まさか沖縄にもそれがあるとは。

しかしこちらはどうやら本家本元で『美浜アメリカンビレッジ』という複合商業施設に沖縄で暮らす米国人が日夜遊びに来るところのようで、もちろん日本人もいるけれど割合は低い。

キョロキョロ、ニヤニヤ、ウロウロして回るとほぼ米国人か僕同様、観光客しかいない。

しかし、タコスを買って散歩したら事が足りてしまうぐらい何もない。服屋と服屋とタコス屋と服屋とバーと服屋しかない。

服は別にいらん。足りてる。荷物増やしたくない。

というわけで雰囲気だけ味わって、沖縄版アメ村を後にする。

大阪も沖縄もアメ村に余り違いはなく、なんとなく苦手。ここに居る理由はないなと。どっちに行っても同じこと思う。

というわけで夜の闇を切り裂く一筋の閃光となり、約10キロを爆走して元相棒前田の家へ新相棒スクルメタと共に。

ソファを借りて就寝を試みるもラッシュガード大佐を貫通してきた陽射しが皮膚を焼いて夜になって熱を持って眠れず爆死!

タオルを凍らせてひんやり〜。

しかしまた熱を持ってきて爆死!

の繰り返しで、ほぼ眠れず爆死しつつ朝を迎える。


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◆自己紹介
山田好転(Yamada Koooooten)
大阪の『水、走る』というバンドのフロンマンで、ソロ名義での弾き語り活動もしています。元軍人でウルグアイ出身の性格が悪い陰陽師兼妖精です。全然、怪しくないです。
◆Twitter
koooooten(個人)
mizuhashiru(バンド)


◆HP
mizuhashiru.com