[コラム] 受付嬢マホの「夜の飛ばせ方Reloaded」(2014/10)

[コラム] 受付嬢マホの「夜の飛ばせ方Reloaded」(2014/10)


馬鹿な発想は留まるを知らない。私の場合は切羽詰まれば切羽詰まるほどドンドンくだらない事ばかり考える。

私事でバタバタしていたのですが、その間に考えていたのは可愛い男の子とお話がしたい。これに尽きた。そこに恋愛感情は一切なく勿論下心など存在しない。ホストクラブのようにギラついたギャル男ではなく、そのへんのそんなに冴えない大学生みたいなお兄ちゃんにそこそこ気を使われながら楽しくお話がしたい。話下手なら尚いい。BOYS BAR的なのはダメだ。結局ホスト被れみたいに襟立てた輩しかいない。そうだ。このご時世ならメイドカフェよろしく執事カフェとかあるだろ!てかあったはずだ!と、鼻息荒く検索するも「結局ホストじゃん!」感が否めない。皆、メガネ、かけてる。コスチューム、プレイ、している。自分に、酔ってる。三十路、相手、されない。お金払う、気分、悪い。それ、滑稽。



嫌だ。金払って惨めな思いしたくない。私が受付に漬物石のように座って、やっと手にしたなけなしの銭っ子を払って腐ったセフィロスみたいなヤツに話しかけられたくない。



思考はドンドン加速した。まさに「ボクハカソクスル」だ。そんな暴走モードに突入した私は「M男なら、厭味ったらしい私の戯言を聞いてくれるのではないか?」と今考えると少々どころかかなり痛々しい発想を始めた。何度も何度もキーボードを叩く。「大阪 M男」ああ、そうだよね。これだと普通の女王様のいるSMクラブ出てきちゃうよね。「大阪 M男 女性向け」これじゃ普通の女性向け風俗出てくるんだよ!M男がいいって言ってんじゃん!いや、別にM男が好きなわけじゃないんだけど!前衛的な人と話したくないだけ!だけど!!分かるかなぁ?分かんねえだろうなぁ?!

怒りと苛立ちを抱えた私は行きつけの掘っ建て小屋のような寿司屋の暖簾をくぐった。其処にはいつもと変わらない、先日まで身体を壊していてその影響か少し呂律が回りにくくなった70過ぎの照れ屋の大将がいつも通り少しだけ笑いながら「毎度」。ほろ酔いのおじさんがお猪口を片手に、三十路も過ぎた私に「えらい若いお姉ちゃん来たなぁ!この店でこんな若い子、会うた事ないで大将!!!」と。さっきまでM男M男と悶々としていた私から自然と笑みが溢れる。私が欲しかったものは、此処にあった。