[コラム]理非不知の「鬼の居ぬ間に箸休め」(2014/06)


「御挨拶」


ここは東京都練馬区。小さな商店街から少し西に折れた、小さなアパートの103号室が私の自室であります。
此処からお送りするコラム「鬼の居ぬ間に箸休め」、これより運営陣に三行半突きつけられるまで、こちらに投稿させていただく運びとなりました。


私のことをご存知ない方がほとんどだと思いますので、今回は自己紹介をば。


名は理非不知(りひしらず)、前述の通り東京都練馬区在住、滋賀県出身の三十歳、身長169cmの大きめ独身女性。
好物は酒、蕎麦、山、寺、紫、だらしない男。
ヒッチハイクも厭わないエキストリームな人生を美徳に、有り余るバイタリティで平成の世を駆けて参りました。

東京に移り住んで六年と少しになりますがFireloop歴は凡そ十年。
もっぱら観客として、その十年を過ごし、ここんちで日夜繰り広げられる音楽や人間模様に一喜一憂し、よく酒を喰らい、よく笑いよく泣き、時にこの大木に群がる小鳥たちを抱きしめ、時にその大木を震わせ人様に迷惑を掛けたものです。
幾らか、気の置けない人間との大切な出逢いもありました。

あれよこれよと紆余曲折あり、いよいよ昨年の夏になると友人からアコースティックギターを奪取し、歌を書きはじめるまでの厚かましさに至り、あまつさえ弾き語りでライブ活動なんぞをはじめた次第です。
主に都内のライブバーなど呑み屋で、酒を汲みながら恨み節を歌っております。
しかし、心から人を恨むなんて物騒なことも、道に倒れて誰かの名を呼び続けたこともありませんので、怖がらずにどうぞ近うお寄りくださいな。と言いますか、恨み節を歌っているつもりは毛頭ございません。
他人がそう例えて面白がっているだけのことなのですが、梅雨さながらじめじめ、どんよりすっきりとしない歌であることは此処に認めます。


さて、自身としましては、Fireloopはこれまでで最も愛着のあるライブハウスであることは確かなのですが、自分で歌うようになり、果たしてようやくFireloopのことが語れるような気分です。実に清々しい。

四月には、初めてブッキングをしていただき、Fireloop2001にて30分お時間を頂戴し、歌わせていただいたのですが、いやはや酷く緊張しましたね。
これまで幾度となく足を運び、耳を傾け、眼差しを送り、憧れを抱いたステージの上は、こんなことになっていたのかと。
それは感動なんて美しいものではなく只々、恐怖でしたね。そして孤独でした。わはは。

それでも懲りずに、また七月にお邪魔します。
往生際悪く、この歳になってわざわざ始めたことですから、のんびりとでも長く歌い続けていけたらなと思っております。
コラムをご覧の皆様、何処かでこのヘンテコな名前の女をお見掛けになりましたら、一言お声掛けいただければ幸いです。
筆者いたく喜んで、呑みすぎます。


このコラムでは、特にテーマを限定するでなく、ゆるりと私のことや私の目に映るもののお話をしていこうと思います。
情報過多で目まぐるしい日々をお召し上がりの皆様にとって、ほんのひと時の箸休めになりますように。
ひとつ良しなに。