[コラム] モケーレムベンベ井澤聖一の「豆腐のかど」(2014/04)
とうとうバイト先に、一回り年下の高校生が入ってきたのであって、
あ、これ、もう拙者も「おっさんの湯」に半身浸かっておるのね。なんて実感した次第。
長湯するほどに代謝の下がる地獄の半身浴であるよ。
かなりの人見知りのようで、なかなか馴染めとらんもんだから、なんとか世間話でもして緊張を解こうと試みるものの、
いかんせん相手は高1女子、何話していいか全くもってわからん。
当たり障りなく好きな食べ物など聞いてみたところ、
「あ、いや、……… 食べれたらなんでも、いいかなって…」
といった具合で、何を話しても大抵その調子であった。
だが、まだまだ甘いぜ小娘、その程度の人見知りっぷりで、職場に馴染めぬと思うなよ。
なんせ小3からひきこもり、人見知りの極限を知る拙者である。自分の高1の時に比べれば、まともに返事ができるだけでたいしたもんだ、いけるぜ、まかしとかんかい。
てな感じで、次第に、なんだか人見知り界の先輩みたいな意識になってしもて、
こいつを皆に馴染ませるのは俺の仕事だぜ、みたいな、
いや、職場の先輩なのやから実際俺の仕事なんやけども、
もう、合コンかっちゅうぐらい、全力のテンションで小一時間ばかり世間話をした結果、
どうやら、吹奏楽部でクラリネットを吹いておるらしい、と。
たまに演奏会があるから、よかったら観にきてほしい、と。
おお、ほな、なんかある時連絡して、ってことで、連絡先を交換、現代っ子はこれ、やはりLINEであったのやけども、
LINEの、名前のとこに、一言コメントみたいの、設定できますやん。
あれ、見て、愕然。
おれ、見て、愕然。
さっきまで、「あ、……いや、…はい……。」とか言うとったのが、
『三└(┐卍^o^)卍ドゥルルル』
とのことであって、おっちゃんは、おお、……… おおお。
となりましたよ。
言うても、自分も高1の時などは、もっぱらセガサターンのコントローラーを介してドゥルルルしておったのであるから、なんとも言えんのやけども。
俺、バンドやってますのやけども、
4月29日にFireloopってライブハウスで、『ベアフットエイジーズ』というイベントをやりますのや。
おっちゃん、今になってようやく、ネットもゲームのコントローラーも介さず、
その場にいる生身の人としてドゥルルルルできるようになりましてんわ、よかったら観に来て。
なんて誘ってみましたのやけど、
「あ、……ええと、………すみません……。」
とのことであったよ。
当面のバイト中の目標は、彼女に、ネットを介さずドゥルルルさせることであります。
大きなお世話かしら。
わしらの世代は、運動会とかで、本気で走るぜって時、なんでか皆、裸足だったのだよ。
テンションとフィジカルの、ダイレクトなコネクション、これだよ、君。
って、
こういうセリフは、まさしくおっさんであるなあ。
4月29日祝日、ベアフットエイジーズ、皆さん来てくださいね。
我々、新しいCDを出します。
共演は、
ナードマグネット
DABIDE’S fire
ぐりーんぴーす
シンガロンパレード
大人の裸足の全力疾走です。よろしくどうぞ。ドゥルルル。