[コラム]いおかゆうみの「ちぐはぐな日々。」(2014/03)


大学の卒業式から一年経った。

ミュージシャンともアーティストとも言い切れず、苦笑いしながら「月に5回ぐらい歌っています」って言うのにも慣れてきた。バイトをして暮らしを紡ぎ、たまに歌を歌う女、になって二年目。

音楽と生活、音楽とお金、音楽とあの人、音楽と自分、音楽と街。今まで考えたことのない現実的なことを考えるようになった。
音楽のことが憎くて愛おしい一年やった。

何者でもない自分が、何者かになれる術。
それが今は音楽なんやとはっきりわかる。


音楽だけ、じゃなくて、このコラムもそう。コラムって何を指すんかあんまりわからんまま書いてるけど、書いててよかったな、と思うことばかり。
いつかのうちの体験が、今のうちの気持ちが、誰かの元に届くんやから、こんなに幸せなことはない。

最近、うちにしてはハイペースで歌が二曲出来た。
そしたら心が真っ白になってしまったんか、うちに文才が足りてへんせいか、コラムを書いても納得いかん日々。書いては消して、頭を抱え、ウーンと唸りながら書いては消して、そんな日々。歌詞も書けずブログも書けず、Twitterも見る気にならん日々。メールを返すのさえ億劫になる日々。

誰かが悪いわけじゃない。
頭の中の紐を解く時間が必要なだけ。
けど、コラムの締め切りには全く間に合わんかった。すいません。
いや、いつも間に合ってなくてすいません。

それでも大事な術を捨ててしまう気にはならんし、そんなことはしたくないから、本当の気持ちを書こうと思って、今、繁華街にある喫茶店の隅っこ。

今日はとても暖かく、街行く人の服は軽く淡い。まだ冬の色のコートを羽織ってるうちだけ取り残されているかのようで、後頭部を引っ張られている気分。


この時期に必ず思い出す人がいる。

あの人、元気かな。って

空に聞いたら、優しい涙。