[コラム]いおかゆうみの「ちぐはぐな日々。」(2013/12)
流れる空気が冷たくなって、外にいればいるほど、頭の中のあれやこれやを指折り数えることさえむずかしくなってきた季節。要するに、寒いなあ。
あっという間に、冬。そしてあっという間に、さよならやなあ。
先日、久々に小学校からの男友だちと会いました。会った、というより、ライブに来てくれました、初めて。うちがうたう人やって知ってる人はいっぱいおる。けど、実際聴きにきてくれる人なんてそんなおらん。ライブハウスで出会ってなかったら、余計そうやけど、そいつは来てくれた、うれしかった。それだけでうれしかった。
カフェレストランでうたったんやけど、そいつはずっとステージから遠くの席に座ってたのに、うちの出番になると一番前の席に移動してきてくれました。
共演者の方々のうたを聴きながら浮かぶのは、そいつとの思い出ばかり。
同じそろばん塾に通ってて、授業が終わっても何時間も何時間も外で話した。お互いの恋愛の話、嫌いなもの、好きなもの。小学生のくせにわかったような口を聞いて、大人になった気分。
6歳頃から友だちで、今でも友だちで、うち、この人と恋人じゃなくてよかった。
うちがうたってる間、あいつは全部聴いてくれてた、見てくれてた。
何年もゆっくり会ってなかったけど、うた聴いてくれただけで空いてた時間全部埋まった気がして、心が満月。まんまるく、光る。
なんとまあ、帰りは車で家まで送ってくれるとのこと。
車、左ハンドルや、とか、小学2年生の担任してる、とか、恋人に対しての気持ち、とかを見たり聞いたりしてると、ああ、こいつこんなにも大人になったんやなあと嬉しいような少し寂しいような。
それやのに、うちが晴れより雨のほうが好きなこと、傘に雨粒が落ちる音が好きやってこと、忘れずにいてくれてた。
「率直な気持ちやから褒めてるんかわからんけど、ゆうみのうた聴いてたら悲しくなった。皮膚から直接うたが染み込んでいくみたいやった!ほめてなかったらごめん!」
大人になっていく。あんなに小さかったのに、大人になっていく。
12月29日、うちはまたひとつ歳をとる。
あいつがくれた精一杯のことばや、あの人が流してくれた涙、いつかのあの子の笑顔、うちのうたが連れてきてくれたたくさんの大切なモノを抱きながら、歳をとる。
越えていきたいうたや人が、うちにはいっぱいある。
だから、その日、12月29日に自主企画をします。
場所は心斎橋の酔夏男。チャー絆とツーマン。
愛する場所で、愛するうたと、愛するひとを集めて。
だから、おいで。
しあわせは自分で選ぶんです。