■やるなら何かそういう印象深いことをやりたい
野津:よろしくお願いします。今月は限りなく透明な果実とのイベントがありますね。これまでroot13.が主催側となるイベントってありましたっけ?
オオタ:以前アートヤードで絵と音楽を一緒にやるというのはありましたけど、ライブハウスでは初めてですね。
野津:しかもツーマンですね。
オオタ:オープニングアクトありですけど。
野津:演奏は1時間ぐらいずつだと思いますが、それぐらいの長い時間のライブはありました?
オオタ:昨年末のuremaとのツーマンと、一昨年末のFireloopで45分のスリーマン時ぐらいです。1時間はuremaとの時以来ですね。
野津:長い演奏時間のライブという意図はあったんですか?
オオタ:うーん、演奏時間は最初はあんまり考えてなかったです。スタートは限りなく透明な果実との2バンドでどれぐらいの人たちを動かせるのかってところですね。
野津:なるほど。そういうのは限りなく透明な果実とやってみたいってことだったんですか?
オオタ:最初はサトルさん(フクシマサトル /
限りなく透明な果実Vo/Gt)から8月とか夏ぐらいにやらない?ってお話を頂いてたんですが、ちょっと僕たちからの返事に時間がかかってしまい流れてしまって、その後、やはりやりたいなって気持ちになったので、改めてサトルさんに連絡して今回の開催となりました。対バンしてそうであまりしていないバンドさんとやりたいなと思っていたところで、ファンの方からも限りなく透明な果実と見たいという声も聞きまして。
野津:限りなく透明な果実とはどれぐらい共演してるんですか?
オオタ:そんなに無いですね。彼らの前身バンドを含めても。
ハタケヤマ:2〜3回ぐらいですね。しかも大阪ばかりで、東京では一度もないです。
オオタ:特に東京の人からの声は多かったです。
野津:フライヤーもそうですけど、イベントには色々とあるようですが。
オオタ:ポストカードを来場者特典で、グッズとしては缶バッジと今後いくつか発表します。
野津:今回はフライヤーもコラボレーションになってますね。
オオタ:元々イベントタイトルについて、サトルさんとイメージを交換しながら考えようという話になって。テーマを僕が決めることになって、いくつか挙げた中からサトルさんがラフ画を描いて、それに合わせてフクザワさんが描いてってという形で。普通の企画イベントについては、root13.でやっても意味が無いかなと思ったので、せっかくやるなら何かそういう印象深いことをやりたいなと。そう考えると限りなく透明な果実とは良い組み合わせだなと思います。
野津:お二人はどうですか?
ハタケヤマ:楽しみですね。僕がroot13.に加入する前に、限りなく透明な果実の前身バンドを見た頃から好きだったので。その時とは違って、今回は肩を並べて一緒にできるんだなと思うと楽しみです。
野津:限りなく透明な果実の良いところってどこだと思います?
ハタケヤマ:熱苦しいところ。
野津:思いがけない言葉!
ハタケヤマ:歌詞とか曲は繊細だと思うんですが、ライブパフォーマンスだとかバンドとしてやっている事自体は熱いなあと。エモーショナルな意味で。うーん、言葉にするの難しいな(笑)。
ナカジマ:私は最初ツーマンと聞いて、今までそれほど対バンを多くした訳ではなかったので、イメージとしてはパッとは浮かばなかったんですけど、少し考えてみるとバンドのイメージは近いなあと。対バンしているイメージというより、バンドとしては、似てないけど奥のイメージが近いものがあるかなと。他の仲の良いバンドさんや、全然面識のないバンドさんとやるより、相手が限りなく透明な果実というのは、必然というか、そういう事なのかなあと。
オオタ:確かにツーマンとなると難しいですね。11月に一緒にスプリットを出す、The Calendar of Happy
Daysやナードマグネットとだと、今回みたいなことはできないと思いますし、限りなく透明な果実はいい感じでルーツが似ているというか。2.5次元感とか(笑)。あと、何よりサトルさんの引っ張ってくれる感じが(笑)。頼り甲斐があるというか。
野津:確かにサトルくんはそういう人ですね。
オオタ:あんまり主体性のない人だったら、もっとイベント企画の進行自体に時間がかかってたと思いますし。18日ぐらいにデザインのできたフライヤーが、20日には僕等の手元に届いてましたし。
野津:サトルさんのパワーは凄いと。そういう馬力って欲しくなりますか?
オオタ:いやー、欲しいですね(笑)。人を導く能力と、発信する能力は違うなあと。身の回りにいる人をグッと引っ張っていく力って大変だし、「言わなくても分かってほしい」と思ってしまう事もあったりするので、サトルさんみたいに言葉にする前に行動で引っ張れる人って憧れますね。
野津:なんかそれは、イベント当日前にすでに勉強になってる感じですね。
オオタ:めちゃくちゃなってますね。
野津:オープニングアクトのHalf moon
Spiralさんですが、名前は勿論知ってたんですが、僕も先日曲を聴いてみて改めて良いバンドさんだなと。めちゃくちゃしっかりメロディを作ってるバンドさんだと思いました。
オオタ:そうなんです。元々メロディを大事にしてるバンドだったんですが、より歌ものというか、完全にメロディって感じで。サトルさんに大阪編は任されていたし、出演をお願いしたのは完全に僕の独断で。これまでにあまり関わりのなかったバンドさんで、かつ自分たちより歴の短いバンドさんにお願いしたくて。Half
moon Spiralはあの若さで、あれだけメロディを大事にしているのはなかなかいないかなと。僕らもそうなのでメロディありきで考えている人が良かったし、本当に良いと思っている人に出て欲しかったですし。オープニングアクトって大事だと思うので、彼らに出演してもらえることになって本当に良かったと思っています。無駄な棘がない人柄もとても良くて。
野津:ベタですけど、最初のHalf moon
Spiralさんからちゃんと見てもらいたいですね。評判はよく聞いていたのですが、僕もライブは見たことないのでとても楽しみです。俄然興味が湧いています(笑)。
ハタケヤマ:僕ももちろん好きですし、良いきっかけがあって。彼らに一宮(愛知県)に呼んでもらった時に名古屋のバンドさんとも繋がることも出来たり。
オオタ:そうですね。最初に名古屋のクラブロックンロールで対バンして、その後に彼らのイベントに呼んでもらって。
野津:東京編のオープニングアクトはヨルニトケルさんですね。フセくん(Suck a Stew Dry / Gt)のバンドですよね。
オオタ:こちらはサトルさんがオファーしてくれてて。これまでも対バンしようっていう話はよくあったんですけど、なんだかんだで実現してなかったので初共演です。僕はライブを見るのも初めてですし楽しみです。
■荒削りでもいいから自分たちのイメージをちゃんと形にしていきたい
野津:イベントは10月19日が東京・渋谷の乙、26日がFireloopで、今は並行して11月にリリース予定のナードマグネット、The
Calendar of Happy
Daysとのスプリットの件もあると思いますが、大変ではないですか?両方の企画がスタートしたのも近い時期だったと思いますし、スプリットはテーマに沿った楽曲制作、イベントも自分たちなりの要素をつけていくということですし。
オオタ:今のところ、経過の時点ではなんとか。
ハタケヤマ:オオタさんが大丈夫かなあと(苦笑)。イベントに関してはサトルさんとのやりとりもしてもらってますし、制作も曲の母体はオオタさんなわけで。曲は進みだしたら肉付けになりますが、そこに至るまでが大変だろうなと。もちろん楽しみは楽しみなんですけど。
ナカジマ:やるって決めた以上はやり遂げるかなと、バンドとしても個人としても。曲を作るオオタさんも適当な曲は作らないでしょうし。ただ、納得するまで持ってこないんだろうなあと(笑)。3組が1曲ずつで、私たちの曲を初めて聴く人もいるわけで、その中で別枠としてツーマンもあるとなって、大変だろうなとも思ったんですが、勝手にいけると思ってました(笑)。大丈夫かなと思いつつ大丈夫だろう、みたいな。
野津:root13.の前作からは1年経ったわけですが、年始からのThe Calendar of Happy
Daysとのツアー以外は大きなアクションはなかったかなと思いますが、それ以降の期間はどうされてたんですか?
オオタ:4〜6月ぐらいは曲を作って、8月はレコーディングしてたかなあ。
野津:改めて今回のような締め切りのある予定が入ると、引き締まる感じですか?
オオタ:両方ですね。締め切りがあるがゆえのモチベーションと辛さとですね。ただ、その4〜6月の期間に、結構自由に曲を作ったり、プリプロもパソコンできっちり出来ました。逆にその期間に、細かいところまできっちりやるより、荒削りでもいいから自分たちのイメージをちゃんと形にしていきたいなと思いました。あとはプリプロを通して、メンバー2人に任せられる部分も増えました。今回のスプリットの曲もそうなんですけど、自分の中でウダウダしているより、早く形をメンバーに伝えたいと思って。スプリット用の曲も、一人でスタジオに入って、これかなってメロディが出てきたので、次のスタジオではそのメロディとザクッとしたコード進行を伝えました。メンバーそれぞれが並行して考えられる時間があった方が絶対いいと思ったので。
野津:今までは歌詞まで出来てるぐらい伝えてたんですか?
オオタ:歌詞は2〜3割です。メインの部分ありきですけど。リード的な曲は大体出来てたりもします。ただ、最低でも弾き語りで出来るぐらいまでは作ってました。前作のタイミングで、時間的な事で2人に任せたことはありましたけど。
野津:今までより任せられる部分が増えたということですが、ドラマー的にはどんな感じでしょう?
ハタケヤマ:他の人の曲を聞いても、自分ならこういうフレーズにするなっていうのをroot13.でもより出せるようになりましたね。今までは割りと求められたイメージに合わせていた部分もあったのが、こちらから「こういうフレーズどう?」って提案して、そこから固まっていったりもあるので楽しいですね。
ナカジマ:ベースに関してはメロディとあたってたりとか以外は以前から特に言われてなかったので。プリプロでメロディを打ち込んでやるようになって、自分がこう弾きたいと思っていてもメロディを一番大事にしている上で、邪魔してるかなって思うともっとシンプルでもいいのかなと思いました。メロディに対してのベースについては以前より考えるようになりました。
野津:スプリットの曲はメロディなんかは出来てるんですか?
オオタ:ほぼ出来てます。歌詞が乗って変化はあると思いますけど。
野津:制作に関してメンバーに任せる部分が増えたということが、以前は時間的な面で結果的にということだと思いますが、現在はバンドが意図してということで、ライブを見ている人にはわからないことだと思いますが、バンド的には大きく変わった部分ですよね。
オオタ:大きいです。作曲のクレジットが自分でいいのかなと思ったりすることもあります。
ナカジマ:編曲がバンド名義でいいんじゃないですか?(笑)
オオタ:比重に関しては、以前に比べてかなり分散されてきているので。3人名義にしたほうが、それぞれの作曲者としての意識がちゃんと出来るかなあと思ったり。ただ僕は僕で守りたいものもあったり、クレジットは関係ないと言いつつも名義があるからの執着心もあって、3人名義はもう少しまだ…、まだかなあとも。
野津:良い意味で3人のバンドというのが増してきていますね。
オオタ:あ、それはもう確実にそうだと思います。だからこそ、弾き語りでしかやらないなあという曲も出来てきてますし。これはバンドじゃないな、オオタですな、みたいな。
野津:ですな…?急に口調が歳を取りましたね(笑)。
一同:笑
オオタ:でも、バンドでやる曲かどうかは本当に分かるようになりましたね。例えばファンの人で、ライブ中にほとんど僕しか見てない人が好きそうな曲はバンドでやる意味ないかなあと。そういう曲は多分バンドでやっても面白くならないなって思ったり。ただリズムがつくだけというか。バンドの曲について、昔ほど自分のというような過度な固執はないですね。それによって失ったものもあるかもしれませんが、それはもうこれまでに形として残せてるとも思うので。
■今年いっぱい学んだので、もう1回いちからやり直すんだろうなと
野津:ツーマンがあって、スプリットがあって、そのリリースツアーが来年3月まで続きますが、それ以降で何か考えている事とかはありますか?確定的なことは言えないかもしれませんが。
オオタ:確実に言えるのは、2014年は再スタート感がとてもある1年になるだろうなと。これまで他のバンドさんが当たり前にやっていたこと、例えばメンバー間の意思疎通などですけど、僕らはそういう事がないところから始まっているバンドで、先にCDをリリースしたり、ライブのやり方もよくわからないままだったりなのを、今年いっぱい学んだので、もう1回いちからやり直すんだろうなと。過去の会場限定盤とかを作り直してもいいのかなと思ったりします。
野津:第三者的に見ていても、他の一般的なバンドとは経るステップの逆転現象は感じるのですが、これまでやってなかったことを体験したり目の当たりにしたあとのroot13.は、それに対するリアクションはちゃんと出るバンドさんだなと感じています。しっかり判断しているというか。
オオタ:多分、2012年の活動の中で自分たちに足りないなとなんとなく思っていたものが、最近の活動の中で結構見つかっているので、素直に受け入れられているのだと思います。それに尽きますね。
野津:それを経ての音楽はまた変わっていくんじゃないかと楽しみですね。これまでの音源から外部との接触による変化を含んでいるのかなと思いますし。新しい曲ができるという、その言葉自体の意味が少し違うというか。
オオタ:違いますね。新曲というか次の曲ができたという感じではないですね。すでにいるファンの人たちがどう思うのかなというは正直ありますけど。CDを、テレビや雑誌などで音楽を好きになる人たちにとって、CD店で買えるというのは当たり前だと思いますが、僕らのCDもそういう状況にあって、次のスプリットがライブ会場限定というのは、入手手段にしてもイメージ的にもどうなるのかなっていうのもあります。元々僕が田舎出身というのもあって、会場限定盤を買えない辛さも知っていたりするので。
野津:そこはこのインターネット全盛の時代になんとか通販などで対応したいなと、リリース元の立場の人間としては思いますが(苦笑)。ちなみにバンドとしての健康面はどんな感じですか?
オオタ:今はまだ法定速度を守っているかなとも思うので、まだ走れると思います(笑)。